アメリカ海軍は2025年12月5日、オランダの造船会社ダーメンに、上陸用戦車揚陸艦「LST-100」の技術データパッケージとして330万ドルを支払ったと発表しました。
直前にフリゲートで失敗した例あり
アメリカ海軍は2025年12月5日、オランダの造船会社ダーメンに対し、上陸用戦車揚陸艦「LST-100」の技術データパッケージの情報購入料として330万ドル(約5億1500万円)を支払ったと発表しました。
このLST-100は「中型揚陸艦(LSM)」として運用され、マクルング級と命名される予定です。主に海兵隊の沿岸連隊(Marine Littoral Regiments)を輸送することを目的とし、機動的な島嶼制圧部隊を求める米海軍の改編方針に沿った艦です。
ダーメンのLST-100は排水量4000トンで航続距離は約4000海里、約250名の兵員を搭載可能とされています。
LST-100をベースとした艦が新型LSMとして選定された背景について、アメリカ海軍海上システム司令部は「成熟した開発済みの設計と戦略的エンジニアリングを活用することで、調達期間を短縮し、必要なときに沿岸での機動力を確保できる」と説明しています。
つまり、調達時間の短縮とコスト圧縮のためにLST-100をベースとした艦の建造を決定したということです。しかし、同じ方針で進められた例として、イタリア海軍のカルロ・ベルガミーニ級フリゲートをベースに建造されていたコンステレーション級ミサイルフリゲートの計画が、2025年11月25日に中止されています。原因は、採用後に追加機能などが次々と付加されたことにより、建造期間の長期化と調達コストの増大を招いたためです。
このため、同様の懸念が同艦にありえると、アメリカメディアでは報じられています。その件に関し、アメリカ海軍は前々から「成熟した技術を活用してリスクを最小化する」と説明していますが、その効果は国内での建造が始まってみなければ判断できません。