【ストックホルム時事】10日のノーベル賞授賞式後に晩さん会が開かれるストックホルム市庁舎では、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)など、過去の平和賞受賞者をたたえるプロジェクションマッピングが上映されている。制作者は「見た人が平和について考える体験を提供したい」と話している。
上映時間は約8分間。後半で市庁舎の塔の外壁に原爆ドームが映し出された後、左から右に折り鶴が飛んでいく様子が投影される。
制作したのはフランス出身のグラフィックデザイナー、ヤン・ゲマさん(52)。日本でも東京都庁(新宿区)や小田原城(神奈川県小田原市)のプロジェクションマッピングを手掛けたという。
ゲマさんは日本被団協をイメージした演出について「(ロシアのウクライナ侵攻を受け)欧州でも核兵器配備に向けた動きがある」と指摘。「核兵器の影響や被害を示す作品が重要だと考えた」といい、「見た人の心に触れ、考えさせられる美的表現を提供したい」と話した。
授賞式関連行事が続く「ノーベルウイーク」限定のイベントで、市庁舎を含め、約20の光のアート作品が展示されている。1968年に文学賞を受賞した川端康成をイメージした作品もある。
〔写真説明〕ノーベル賞の晩さん会が行われるストックホルム市庁舎の外壁に映し出された光のアート作品。昨年平和賞を受賞した日本被団協などをたたえ、折り鶴や原爆ドームが投影された=5日、ストックホルム
〔写真説明〕ノーベル平和賞の受賞者をたたえる光のアート作品(奥)を制作したヤン・ゲマさん=5日、ストックホルム