■これまでのあらすじ
夫の心ない言葉に日々疲れを募らせていた妻は、ひそかに確認した宝くじが“3億円当選”していると知り、このことだけは夫に知らせないと静かに心を決める。外では穏やかに見える夫だが、家庭では厳しく、いつも息子の話から派生して妻の過去を全否定する。思わず妻が涙をこぼすと、その後は決まり文句のように抱きしめて謝るものの、主張は変わらず、会話は毎回同じ流れで終わっていく。夫はそれで収まったつもりだが、妻の胸には不満と疲れが積み重なり、かつての気持ちを思い出せないほど追いつめられていた。
夫の心ない言葉に日々疲れを募らせていた妻は、ひそかに確認した宝くじが“3億円当選”していると知り、このことだけは夫に知らせないと静かに心を決める。外では穏やかに見える夫だが、家庭では厳しく、いつも息子の話から派生して妻の過去を全否定する。思わず妻が涙をこぼすと、その後は決まり文句のように抱きしめて謝るものの、主張は変わらず、会話は毎回同じ流れで終わっていく。夫はそれで収まったつもりだが、妻の胸には不満と疲れが積み重なり、かつての気持ちを思い出せないほど追いつめられていた。
■夫のスーツを確認してみると…


■入っているのは紙屑だけ――だったら…!


■女性の髪の毛でも入っていれば…


夫の部屋に入った妻は、ふと目に留まったジャケットのポケットに手を伸ばします。
もしかしたら──そんな思いで探ってみても、出てきたのは丸められた紙くずだけ。
続いてスラックスにも手を入れてみたものの、そこにあったのは想像とはまったく違う、ただの縮れた毛。
思わず声をあげた妻は、すぐにそれをゴミ箱へと放り投げました。
夫といること自体が苦しくなっていた今、心のどこかで“何か決定的な証拠があれば…”と期待してしまったのでしょう。
しかし、探しても探しても何も見つからない。虚しさだけが残る結果となってしまったのです。