■これまでのあらすじ
夫の冷たい言葉に日々心をすり減らしていた妻は、こっそり確認した宝くじが“3億円当選”していることを知り、この事実だけは夫に知らせないと胸の内で固く誓う。外では穏やかに見える夫だが、その裏の厳しさを知るのは妻だけだった。妻の母が孫にゲームソフトを買ったときも夫は不満をぶつけ、妻が反論すれば、「お前みたいに勉強できない子になったらどうする」と傷つく言葉が返ってくる。会話は妻を責める方向へすり替わり、何を言っても「言い訳だ」と突き放されるばかり。ついに涙をこぼした妻へも、夫は「泣くのはナシ!」と軽く言い放つのだった。
夫の冷たい言葉に日々心をすり減らしていた妻は、こっそり確認した宝くじが“3億円当選”していることを知り、この事実だけは夫に知らせないと胸の内で固く誓う。外では穏やかに見える夫だが、その裏の厳しさを知るのは妻だけだった。妻の母が孫にゲームソフトを買ったときも夫は不満をぶつけ、妻が反論すれば、「お前みたいに勉強できない子になったらどうする」と傷つく言葉が返ってくる。会話は妻を責める方向へすり替わり、何を言っても「言い訳だ」と突き放されるばかり。ついに涙をこぼした妻へも、夫は「泣くのはナシ!」と軽く言い放つのだった。
■涙が止まらない妻を見て夫の態度が一変?


■優しさではなくただの“たしなめ”


■抱きしめれば全部丸く収まるとでも?


「ごめん!言い過ぎたよ」――そう言って妻を抱きしめた夫。しかし、その謝罪は形ばかりのもので、自分の主張を曲げる気配はなく、必要な要望だけを伝えるとあっさりその場を離れていきました。
「この流れ、もう何度目だろう……」
抱きしめて謝れば収まるとでも思っているのか。抱きしめられた温度だけが残る中、夫への不満は、積み重なったまま妻の中で静かに広がり続けていくのでした。