【香港時事】7日に投票が行われた香港立法会(議会、定数90)選挙は8日、開票作業が行われた。一般の市民が投票できる直接投票枠の投票率は31.9%。過去最低だった前回2021年(30.2%)を上回ったものの、高層住宅火災を巡って政府への不満が高まる中、投票率は前回に続き低調だった。議員任期は4年で、計161人が立候補した。
今回の立法会選は、中国主導で21年に選挙制度が大幅に変更され、政府に忠誠を誓う「愛国者」しか出馬できなくなってから2度目の選挙。民主派は排除され、親中派「圧勝」が事前に確定していた。
香港では11月26日、北部・新界地区大埔の修繕工事中の高層住宅で大規模火災が発生し、これまでに159人の死亡が確認された。これを受け、選挙活動は自粛を余儀なくされた。当局の監督責任を問う声が広がり、政府に不満を抱く多くの市民が棄権したとみられる。
政府は選挙の正統性をアピールしようと、投票時間を延長するなどして投票率向上に努めた。政府トップの李家超行政長官は「改革を推進し、被災住民を守るため重要」だとして最後まで市民に投票を呼び掛けたが、民主派排除で争点は見えにくいこともあり、奏功しなかった。
〔写真説明〕8日、立法会(議会)選挙の票集計作業を画面越しに見守る香港市民ら(AFP時事)