自分にあう痩せ方を見つける『マイダイエットメソッド』を主宰しています、管理栄養士で、おうちごはん研究家の金丸利恵です。
あっという間に2025年の年末がやってきましたね。皆さん、おせち料理は購入派ですか、それとも手作り派ですか?親族で集まるので、それぞれ持ち寄ることもありそうですね。今年を振り返りつつ、来年の希望を描きながら、年末におせち料理を作る。そんな年末の過ごし方もいいですよ。
焼き物、煮物、酢の物など、和の料理が詰められた昔ながらのおせち料理は、必要な栄養素をしっかり満たしています。特に三の重に詰められる煮物は、根菜をふんだんに使い、食物繊維もたっぷり。筑前煮として、普段使いのおかずにもなるので、美味しい作り方をマスターしておきましょう。
お正月は黒豆や栗きんとん、伊達巻など、砂糖を多く使うお料理があるので、砂糖を使わずに、煮切りみりんを使用し、さっぱりとした味わいに仕上げる筑前煮をご紹介いたします。
■根菜を摂取するメリット
糖質が多いからとダイエット中に根菜を控える方もいますが、もったいないですね。根菜は確かに糖質を含みますが、糖質以上に得られるメリットがとても大きい食材です。食物繊維やポリフェノールなど体に役立つ成分が豊富ですし、噛み応えもあるので、低カロリーながら満腹感も得やすいのです。
①食物繊維が豊富で血糖値の急上昇を抑える
れんこん・ごぼう・にんじんは、不溶性・水溶性の食物繊維をバランスよく含み、糖の吸収をゆるやかにし、腸での糖質コントロールに役立ちます。
②腸内環境を整え、免疫力を高める
根菜の食物繊維は善玉菌を増やし、腸内細菌の多様性に貢献します。腸は免疫細胞の約70%が存在する場所で、腸が整うと、免疫やメンタル面、肌の調子まで安定してきます。特にごぼうは食物繊維が豊富で、便通を整えたり、コレステロールの排出を促し、動脈硬化の予防にも有効と言われています。
③咀嚼回数が増え、食べ過ぎ防止に
根菜はしっかり噛む必要があるため、自然と咀嚼回数が増えて満腹感を得やすい食材です。れんこんや里芋は腹もちが良く、こんにゃくは低カロリーで量を増やしたい時に便利。
筑前煮は、根菜・こんにゃく・鶏肉・しいたけなどを一緒に煮込むことで、旨味が重なり深い味わいになります。どこか懐かしさを感じる一品ですよね。ひと口ずつゆっくり噛んで、素材の甘みや香りを楽しんでみてください。

・筑前煮の具材の食物繊維と注目成分(具材は各100g)
エネルギー 58kcal
食物繊維総量 5.7g
注目成分 ポリフェノール→抗酸化作用
<れんこん>
エネルギー 66kcal
食物繊維総量 2.0g
注目成分 ビタミンC→抗炎症作用
<にんじん>
エネルギー 35kcal
食物繊維総量 2.8g
注目成分 βカロテン→抗酸化作用
<里芋>
エネルギー 53kcal
食物繊維総量 2.3g
注目成分 ガラクタン(多糖類)→胃腸の保護
<こんにゃく>
エネルギー 5kcal
食物繊維総量 3.0g
注目成分 グルコマンナン→整腸作用
<乾しいたけ(ゆで)>
エネルギー 40kcal
食物繊維総量 6.7g
注目成分 ビタミンD→免疫の適正化
※乾しいたけは、もう一度日に干し、天日干しにすることでビタミンDがアップします。
■みりんの種類と選び方について
みりんは発酵過程で生成されたアミノ酸が豊富で、旨味とコクをアップしてくれます。食材にかけて加熱し、アルコールを揮発させることで、食材の雑味を飛ばして臭みを消す効果もあります。甘みや旨味、コクの成分で味が決まりやすいのも嬉しいですね。
みりんは製造方法により、大きくは3種類に分類されることをご存じですか?選ぶときに、商品名や成分を確認してみる良いですよ。
1.本みりん
蒸したもち米に米糀を混ぜ、焼酎(醸造用アルコール)を加えて熟成したもの。
※アルコール分12.5度以上13.5度未満。お酒を販売しているコーナーに置いてあることが多い。
2.発酵調味料(みりんタイプ調味料、醸造調味料、加塩みりん)
酒税をかからなくするために食塩を添加し、アルコール分を含む飲用と扱われないもの。
3.みりん風調味料
アルコール分1%未満。みりんの風味に似せて、うまみ調味料や水飴糖の糖分を加えたもの。
今回の筑前煮に使用していただきたいのは、(1)の本みりんです。みりんは甘いのですが、アルコール分を煮切ったものを使用することで、さらに甘みが深くなります。本みりんでも、甘さを調整する為に糖類を添加しているものがありますが、私はなるべく糖類添加のないものを選ぶようにしています。
(2)の発酵調味料は、塩が添加してある以外はみりんと同じで、旨味や香りもあり、本みりんよりは安価なのが魅力的です。添加された塩分量も加味し、他の調味料で調整すれば美味しく作れると思います。
(3)のみりん風調味料は、名前の通り似せて作っているため、旨味や香りはみりんとは言いにくいところです。ただアルコール成分がほぼ含まれないので、加熱しないでそのまま使うには使いやすいでしょう。
パッケージの印象や価格に惑わされず、特徴を知り、ご自身にとって使い勝手のよいものをお選びくださいね。
■砂糖を使わない筑前煮、作り方のポイント
①干し椎茸、昆布はできるだけ前日から水に浸けておく
干し椎茸も昆布も、短時間では凝縮された旨味がでません。冷たい水に浸し、できれば半日かけてゆっくりもどし、戻し汁もだしとして料理に使います。時間がないときは細かく切って浸水すると、早くだしが出ます。
②具材は一度、さっと下茹でする
根菜は浸るくらいの煮汁で、コトコトと煮ないと味が入りにくいですが、煮汁が多いと、その分調味料も多くないと、味が薄くてぼやけてしまいます。そこで、さっと具材を下茹ですることで、アクが抜けるし、煮汁もしみこみやすくなるので一石二鳥。鶏肉は表面が白くなる程度に熱湯にくぐらせることで、臭みがとれます。完全に火を通してしまうと、煮物に鶏肉からの旨味が入らなくなってしまうので、表面だけにとどめてください。
③みりんは電子レンジで加熱してから加える
みりんはアルコールを飛ばし、煮詰めると、甘みが深まります。煮る時はしょうゆより先に加えて煮るましょう。塩分は具材の表面を固くしてしまうので、みりんや酒で先に煮ておくと味が沁み込みやすくなります。
お重に彩り良く詰めればご馳走に、ごはんに合わせれば、日常のおかずにも。冷めても美味しいので、お弁当にも。大活躍しますので、ぜひマスターしてくださいね。
ダイエットとは、ただ体重を減らすことではなく、自分らしい調子を保つための習慣づくりです。「おうちごはんは、何よりのごちそう」。あなた自身のために、大切な誰かのために、心と体をそっと整えてくれる料理を、これからも楽しみながら続けていただけたら嬉しいです。
■「砂糖を使わない筑前煮」の作り方
【材料】4人分 調理時間30分(戻す時間を除く) レシピ制作:金丸利恵
砂糖を使わない筑前煮
【材料】(4人分)
鶏もも肉 1枚(250g)
里芋 200g
ゴボウ 1/3g(60g)
レンコン 100g
ニンジン 1/2本(70g)
コンニャク 小 1枚(220g)
干しシイタケ 2枚
昆布 5×5cm
水 200ml
水 200ml
みりん 大さじ 4
酒 大さじ 2
しょうゆ 大さじ 3
しょうゆ(仕上げ) 大さじ 1/2
【下準備】
1、<戻し汁>の干し椎茸と昆布を水につけて戻す(一晩冷蔵庫に入れておくと良い)。
2、鶏もも肉は食べやすい大きさに切る。
3、ゴボウは皮をこそぎ、斜めにスライスする。
4、レンコンは皮を剥く。いちょう切りにして酢水につける。
5、ニンジンは皮を剥き、太いところを5~6mmくらいの輪切りにし花形で抜く。残りは乱切りにする。

【作り方】
1、こんにゃくは手でひと口大にちぎって、塩でもむ。水分が出たら水で洗い流す。

2、里芋は洗って、大きければ半分に切りラップに包む。600Wの電子レンジで3分加熱する。冷めたら皮をむき食べやすく切る。

3、耐熱容器にみりんを入れ、ラップなしで600Wの電子レンジで1分加熱し、吹きこぼれていないか確認し、さらに追加で1分加熱する。

4、鍋に湯をわかし、にんじん、ゴボウを入れて2分茹でる。

5、れんこんと鶏肉を入れ、鶏肉の表面が白くなったらザルに空けて湯を切る。

6、鍋を綺麗にして、半分に切った椎茸、椎茸の戻し汁(昆布は抜く)に水を加えて、強火で煮たてる。

7、(5)の水気を切った材料、こんにゃく、里芋を入れる。酒とみりんを加え、ひとまぜしたらオーブンシートで落とし蓋をし、中火で5分程度煮る。

8、しょうゆを加え、里芋が崩れないように優しく混ぜたら落とし蓋をして、弱めの中火で10分煮る。

9、落とし蓋を取り、煮汁が半分程度をめやすに、たまに鍋をゆすって水分をとばす。仕上げにしょうゆ大さじ1/2を入れ、全体的にまわったら火をとめる。30分程度置いて味を馴染ませる。

栄養成分(4人分)
エネルギー 261kcal
タンパク質 14.3g
脂質 9.1g
炭水化物 29.6g
食物繊維総量 5.9
食塩相当量 2.7g
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