2025年のメルセデス・ランキング(MR)で28位に入り、プロ12年目で初シードを獲得した山城奈々。出場者が40名と限られた最終戦「JLPGAツアー選手権リコー杯」もMR上位の資格で初出場を決めた。「8年ぐらい悩んだ」ドライバーの不調を乗り越えたがクラブのこだわりも強かった。
2014年のプロテストに合格し、1年目の14年は賞金ランキング54位で惜しくもシードを逃した。ドライビングディスタンスの計測が始まった17年に252.45ヤード(5位)を記録するなど、ツアー屈指の飛距離が武器だった。
しかし、2017年ぐらいからドライバーショットが不調に陥った。試行錯誤を繰り返していたが、今年の「パナソニックオープン」で運命のエースと出会った。
「1発打って、このヘッドだ」と好感触を得たのはコブラの『DS-ADAPT LS』(10.5度)。シャフトもグラファイトデザインの黒いコスメの『ツアーAD DIブラック』がハマった。ドライバーショットの不安は徐々に減り、初シード獲得の原動力となった。
2024年もステップ・アップツアーで2勝を挙げて復活ののろしを上げたが、昨年夏過ぎからある工夫をしている。「知人に勧められてグリップ側に重りを入れて、ちょっと良くなりました。パターもやりたくなって、最初はドライバーとパターをやりました」。
ツアープロも多数使うツアーロックゴルフの特殊な重りをグリップエンドに入れてカウンターバランスにしている。ドライバーは10g、パターは100gを入れている。
手元側を重くすることのメリットとは? 「私はショットもパットも手先でヒョイッと上げてしまう癖があります。手元側が重くなることで体全体をしっかり使えるようになります」と、手先ではなく体を使ったスイングやストロークをしやすくなるという。
最初はドライバーとパターだけだったが、次第にその幅は広がり、現在は3番ウッドが8g、5番からPWが6g、58度が4~6gの重りが入っている。「大王製紙エリエールレディス」から投入する丸グリップのパターにも100g入れている。一方、3番と4番のユーティリティと48度、52度のウェッジには入っていない。
「重りを入れるにしても実際に振りながら重さを調整しています。以前使っていたパターは80gでしたし。番手によって重さが違うのも振った感触で決めています。入っていないクラブは、入れなくてもスムーズに振れます。自分の感覚です」
必ずしも全ての番手に入れるわけではなく、振り心地を重視している。運命的な出会いのエースに加えて、グリップの中に隠された重りが山城の躍進を支えていた。
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