野党反発、維新またも妥協=定数削減、実現なお不透明

 自民党と日本維新の会は1日、衆院議員の定数削減を巡り「小選挙区25、比例代表20」を軸に議論することで合意した。維新は比例を主眼に置いていたが、影響が大きい中小野党の反発を踏まえ方針転換した。企業・団体献金に続き重要なテーマで妥協を強いられた格好。ただ、野党の賛同を得て実現できるかはなお不透明だ。
 「野党の協力を広くもらうことが必要だ」。維新の吉村洋文代表は1日、高市早苗首相(自民総裁)との会談後、記者団に妥協の理由をこう語った。
 維新は当初、定数の1割削減法案を今国会で成立させるよう主張。自民が難色を示すと、今国会は工程を盛り込んだ法案にとどめ、1年以内に結論を得ることで折り合った。それでも藤田文武共同代表は、協議が不調に終われば比例を自動的に1割削る規定を明記するよう要求。遠藤敬国対委員長は自民が拒否すれば連立離脱も辞さない考えを示していた。
 維新幹部によると、工程法案の理解を得ようと立憲民主党や公明党に説明したが、両党は比例だけでなく小選挙区も対象にするよう求めた。
 こうした状況を受けて、遠藤氏は11月30日深夜、衆院議員宿舎で木原稔官房長官とひそかに会談。小選挙区も削減することで一致した。藤田氏は1日、記者団に、自民の萩生田光一幹事長代行にも「相当汗をかいていただいた」と述べた。自民の閣僚経験者は「維新もだいぶ与党の現実が分かってきた」と指摘した。
 ただ、野党からは依然として疑問の声が出ている。立民の安住淳幹事長は記者団に「なぜ1割削減なのか、なぜ1年で結論なのか説明を求めたい」と強調。国民民主党関係者は「削減ありきの乱暴な議論だ」と憤り、公明の西田実仁幹事長は記者団に「1割(の理由)がいまだに判然としない」と語った。
 今国会は17日の会期末まで約半月。野党には企業献金規制を優先するよう求める意見がある。自民にも「これ以上、選挙区を削ったら地方から議員がいなくなる」(ベテラン)と反発がくすぶる。 
〔写真説明〕政府・与党連絡会議で発言する高市早苗首相(左から4人目)=1日午後、首相官邸
〔写真説明〕高市早苗首相との会談を終え、取材に臨む日本維新の会の吉村洋文代表(右から2人目)。左手前は自民党の鈴木俊一幹事長=1日午後、首相官邸
〔写真説明〕自維党首が衆院議員の定数削減について合意し、記者団の取材に応じる立憲民主党の安住淳幹事長=1日午後、国会内

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