従来の健康保険証が1日で期限切れとなり、2日から医療機関を受診する際はマイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」か、マイナカードを持たない人に発行された「資格確認書」を使う仕組みへ本格移行する。政府はマイナ保険証のメリットを強調するが、医療現場では保険資格の確認時にトラブルも起きており、不安の払拭が普及に向けた課題となる。
厚生労働省は患者らの混乱を避けるため、期限切れ保険証でも来年3月末まで通常の窓口負担で特例的に受診を認める。
期限切れとなるのは、企業の健康保険組合や公務員の共済組合など、サラリーマンら約7700万人分の保険証。75歳以上の後期高齢者や自営業者ら向けの国民健康保険の保険証も7月以降、順次期限が切れている。
今月2日からはマイナ保険証か資格確認書を使えば、原則1~3割の負担割合で保険診療を受けられる。マイナ保険証は医療機関の窓口にあるカードリーダーで本人確認を行う。医師らが薬の処方歴を共有できるため、厚労省は「複数の医療機関で同じ薬が重複処方されるのを防げる」と利点を強調する。
しかし、利用率は10月末時点で37.14%にとどまる。その背景には、受診のたびに顔認証や暗証番号の入力といった手続きが必要となる煩雑さに加え、別人データの誤登録問題などトラブル発生への不安がある。全国保険医団体連合会の調査によると、8月以降にマイナ保険証の資格確認を巡るトラブルがあったと回答した医療機関は69.8%に上った。
同省幹部は「マイナ保険証でどんなトラブルが起きても全額自己負担にはならない」と不安払拭に努めている。
〔写真説明〕「個人番号カード(マイナンバーカード)」の見本=2015年10月31日、東京都中央区

