【香港時事】香港北部・新界地区大埔の高層住宅で26日に発生した大規模火災では、燃えやすい発泡スチロールが延焼拡大につながった。また、火災報知器が正常に作動しなかったことで住民の避難が遅れ、犠牲者が増えたとみられる。防火・避難態勢の不備が今後問われそうだ。
香港当局は29日、連絡が取れていない約150人の捜索活動を継続。死者128人のうち身元不明の89人の人定作業も進めた。
高層住宅群は火災当時、外壁の補修工事中で、建物の周囲には竹製の足場が設置され、全体を覆うように防護ネットが張られていた。政府によると、火元は低層階のネット付近で、窓ガラスを保護するために取り付けられていた可燃性の高い発泡スチロールに引火。窓ガラスが割れて外気が屋内に入り、火勢が急速に強まったもようだ。
地元メディアによると、ある建築業界関係者は修繕工事では窓の損傷を防ぐため、発泡スチロールが使用されることがあると証言。請負業者はコストを抑えるため、他の保護材より安価な発泡スチロールを選んだ可能性があると語った。
また、火災報知器が鳴らなかったため、多くの住民は火事に気付かなかったとみられる。消防当局の元高官は地元メディアに対し、報知器の不作動について「致命的になりかねない」と指摘。「1分の対応の遅れで被害は大幅に拡大し、生死を分ける」と警告した。
なぜ報知器が鳴らなかったのかは確認されていない。ただ、現場の作業員が竹の足場で喫煙したり、窓辺にたばこの吸い殻が落ちたりしているという苦情が多くの住民から寄せられていたとの報道もある。警報が作動しないよう報知器が停止されていたこともあったという。たばこに反応しないよう意図的に切られていた可能性もあり、当局が原因究明を急いでいる。
〔写真説明〕29日、香港北部・新界地区大埔の高層住宅火災の現場周辺で献花する人々(EPA時事)

