「日本一着陸が難しい空港」なぜ? 実際に乗ったら「おっ、違うぞ…!」 ランクは「世界のANA就航空港のなかで最難」

「日本一着陸が難しい空港」として航空ファンに広く知られているのが、伊豆諸島にある「八丈島空港」です。では、実際にどのような点が難しく、利用してみるとどうなのでしょうか。

空港の難易度ランクでも「最難関」

「日本一着陸が難しい空港」として航空ファンに広く知られているのが、伊豆諸島にある「八丈島空港」です。では、実際にどのような点が難しく、利用してみるとどうなのでしょうか。

 同空港で唯一のジェット機による定期便を運航しているANA(全日空)ですが、その業務委託代理店を務める八丈島空港ターミナルの担当者によると、ANAの社内では空港ごとに難易度のランク分けがあるなか、世界中にあるANAの就航空港の中で、八丈島空港だけが最も難しい「カテゴリーデルタ」に分類されているとのことです。

 難易度が高い最大の理由は「気流の悪さ」にあります。担当者によれば、「八丈島は両側を山に挟まれた地形で、基本的に飛行機は向かい風で着陸しますが、八丈島は360度どこから風が吹いても着陸に制限値が定められています。つまり、どの方向から風が吹いても気流が乱れやすいのです」といいます。とあるパイロットも「風の流れが非常に複雑で、風速が低くても気流が安定しない空港」と評価しています。

 さらに、滑走路にも特徴があります。パイロットによると、八丈島空港の滑走路は「中央付近をピークに、両端へ向かって0.4%の下り勾配になっている」とのこと。これは着陸時、上り勾配に接地することになることを意味し、パイロットにとっては接地寸前で降下角度が変わってしまうという難しさにつながります。

 そんな八丈島空港ですが、実際に乗ってみると、ANAが運航する羽田線はこうした難しさ以外にも特殊な点がありました。

高度、速度、そして着陸も独特だった

 まず、八丈島は東京都心から南へ約300kmの距離に位置します。この距離ゆえに飛行時間が短く、出発前には「ベルトサインが消えている時間は10分」と案内されました。この日は午前7時40分に離陸し、7時54分にベルトサインが消灯。ドリンクもカート提供を控え、CA(客室乗務員)が希望者にお盆で手渡すスタイルがとられていました。

 また、飛行高度や巡航速度も一般的な便とは大きく異なりました。通常、ジェット旅客機は高度1万m、時速830km(この日の便で使用されたANAのボーイング737-800の公式スペックによる)ほどで巡航します。しかし、航空機追跡サイト「フライトレーダー24」を参照すると、この便の巡航高度は約2680m(8800フィート)、速度は時速533km(288ノット)を記録。パイロットからも「気流の影響でこの高度を選んだ」とアナウンスがあり、通常でも低空・低速で飛ぶ傾向があるようです。

 ベルトサインの再点灯は8時3分、着陸は8時20分。関係者が口を揃える気流の影響も多少感じられ、客席からでもパイロットが細かく操舵している様子が伝わってきました。

 なお、これほど難易度が高いとされる八丈島空港ですが、ANAではこれまで着陸失敗による事故は発生していません。これは同空港に乗り入れるパイロットや航空会社、そして受け入れる空港側の、長年にわたる経験と高い技術の賜物といえるでしょう。

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