日本勢“全勝”へカウントダウン 50年超の歴史で初の快挙なるか【現地記者コラム】

「三井住友VISA太平洋マスターズ」ではさまざまな記録が更新された。優勝した金子駆大のトータル17アンダーは大会レコード。3日目に古川龍之介がマークした「62」は大会コースレコードだった(いずれもパー70での開催となった2018年以降)。また、4日間合計の来場者数3万3164人は今季のツアー最多。大会としても記録が残る1992年以降で最多のギャラリー数だった。
一方、シーズンを通して継続となった記録もある。外国人選手の未勝利、裏を返せば、日本人選手の全勝だ。韓国PGAツアーとJGTOの共同主管で韓国開催だった「ハナ銀行インビテーショナル」こそ、南アフリカのショーン・ノリスが制したものの、国内で開催されたトーナメントに限れば、すべて日本人選手が優勝。JGTOによれば、1973年のツアー制施行後、外国人選手の優勝がなかった年は一度もない。今季は残り3試合。50年を超える国内男子ツアーの歴史で初の記録が目前に迫っている。

要因として考えられるのは強い外国人選手の流出。日本ツアーで活躍した若手が次々に海外挑戦を果たしているのと同様に、外国人選手も主戦場を移しており、20-21年の統合シーズンに賞金王に輝いたチャン・キム(米国)は現在米ツアーでプレー。近年、最強外国人プレーヤーの座に君臨していたノリスも今季はDPワールド(欧州)ツアーとの掛け持ちで、日本ツアーは優勝した韓国での試合を含めて10試合の出場にとどまっている。

さらに大きいのは日本人選手のレベルアップ。証言するのは最終日、一時金子に3打差に迫るなど、今大会で単独2位に入ったイ・サンヒ(韓国)だ。2013年から日本でプレーする33歳は「キム・キョンテさん(10、15年)やベ・サンムンさん(11年)が賞金王になったころの日本ツアーはベテランが多かったけど、今は選手が若手中心に入れ替わって層が厚くなったと思います。若い選手はみんな上手いです」。

李は昨年、日本でのシードを失っていたため、日韓両ツアーでプレー。その経験から「トップ20の選手のレベルは日本も韓国も変わらないけど、日本には同じレベルの選手がさらに20~30人いる」と感じている。

過去、日本勢が全勝に最も迫ったシーズンは2009年。待ったをかけたのは「ダンロップフェニックス」に海外招待選手として参戦したエドアルド・モリナリ(イタリア)で、外国人選手の優勝はこの1試合だけだった。

かつてセベ・バレステロス(スペイン)、トム・ワトソン、タイガー・ウッズ、ブルックス・ケプカ(いずれも米国)らが参戦していたことを思えば、ビッグネームは不在だが、今年のフェニックスにも5人の海外招待選手がやってくる。日本人選手による初の全勝はなるのか? 今週が記録達成に向けて、最大の山場となる。(文・田中宏治)

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