＜伊藤園レディス 事前情報◇13日◇グレートアイランド倶楽部（千葉県）◇6769ヤード・パー72＞
今週の国内女子ツアーは、第41回目を迎える「伊藤園レディス」。今季も残り3試合となり、年間女王やシード権争いはラストスパートを迎えている。今大会の動向を青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏と、さらに今回はスペシャルゲストとして堀琴音、菅沼菜々らのコーチを務める森守洋氏にも占ってもらった。
■グリーンは例年よりもやわらかく、伸ばし合いに？
今年で41回目を迎える老舗大会は、1994年から使用される恒例のグレートアイランド倶楽部で開催される。コンディションについて、大西氏と森氏は「グリーンがやわらかい。例年よりもスコアが出ます」と口をそろえるだけに、伸ばしあいの展開が予想される。
一方で「フェアウェイは少し硬めで走ってくれるので、ボールは前に行きやすい」とティショットの飛距離が出せるという。そのためグリーンを狙うショットは、比較的短いクラブを使用する頻度が増えることにも加え、1グリーンでグリーンは大きいことから全体的にパーオン率が高いと予想される。「パッティング勝負ですね」（森氏）。チャンスにつけて、決めきれたもの勝ちになりそうだ。
ただ、グリーンがやわらかいことから「飛距離が出る選手は、いいショットをしてもスピンでボールが戻りやすいので、スピンコントロールが大事になる。そこは難しくなると思います」と、距離が長くないとはいえ、クラブスピードの速い飛ばし屋たちには試練が待ち受ける。さらには、バンカーや池、コースレイアウトはドッグレッグや、タイトなホールも点在するため、ショットの精度が試されそうだ。
■パッティングが好調な選手が有利
そういったコンディションのなかで、有利なのは「パッティングが上手い選手」と話す。森氏は「荒木優奈さんは今年初優勝もして、ノリに乗っているし、パターも上手い。ショットも良い状態だと思うので、このコースに対応できるのではないでしょうか。あとは、菅沼菜々さん。スイングも調整して、調子も上がってきている。パッティングも上手いので、スコアを伸ばしてくると思います」と展望した。
荒木、菅沼はともに今季1勝。特にプロ1年目の荒木は先週の「TOTOジャパンクラシック」で畑岡とプレーオフの末、2位で終えている。今年は33試合のうち12試合でトップ10入りを果たしており、ポイントランキングでは7位につけている。勢いに乗る20歳に期待は高まる。
一方で大西氏は「河本結さんですね。パターの転がりがすごくいい。イメージで言うと、パターの芯とボールの芯で打つ能力が長けています。すごく絶好調だと思います。今週は傾斜が強いところにカップを切ってくると思うので、重い転がりのほうが伸びていく」と、現在パーオンしたホールの平均パット数で『1.7513』の2位にいる河本を挙げた。
さらに、ショットの調子も上向きだという。「飛んでいる。キャリーの飛距離が出ています。球の伸びがあるし、ライナー系です。（フェアウェイが硬いので）このコースとの相性がいいんじゃないかなと。練習場で見ていても、つかまったフェードボールが打てていて調子がよさそうです」と見据えた。
最後に挙げたのは、「堀（琴音）さん」だった。「ローボール系（低めの弾道）で球も伸びていますし、ローフェードが距離を出してくれると思います」とランが出やすいフェアウェイで距離を稼ぎ、グリーンを狙うショットではチャンスにつけることが多そうだ。森氏は「きのうの練習ラウンドでも前に飛んでいた」と話しており、堀のビッグドライブには注目だ。
「それと、なによりもキャディが森さんです」と、この3日間の堀のキャディは森氏が務める。「まだ（タッグで）勝ったことないんですよ」（森氏）。堀は「森さんのキャディで勝つことが目標の一つなので、それがまた大きなアドバンテージになるのではないかなと思います」と、教えてくれた。狙うは“師弟タッグ”での初優勝だ。
今年は、現在ポイントランク1位の佐久間朱莉を始め、稲垣那奈子、髙野愛姫、入谷響と荒木優奈のルーキーらなど多くの初優勝が出ている。「今週のコースコンディションだったら（多くの選手に）大いにチャンスもあって、初優勝も出る可能性があります。そのなかでも小林光希さんは、（優勝争いに）絡んでくるのではないかなと」（大西）と話す。「落ち着いている。スイングの安定感があって、長く戦い続けられるような、プレーも安定している」と森氏も絶賛した。
伸ばし合いが予想されるコンディションのなかで、トップに立つのは一体だれなのか。
解説・大西翔太（おおにし・しょうた）/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす！！ 飛距離アップの正解』が発売中。
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