<三井住友VISA太平洋マスターズ 初日◇13日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>
昨年を含めて大会を4勝を誇る石川遼はティショットに苦しみ、「71」のラウンド。1オーバーの61位タイと出遅れた。3バーディ・2ボギー・1ダブルボギーと出入りの激しい内容に「防げるボギーもあったし、ダブルボギーもボギーにできたと思う」と悔しさをにじませた。
「改めて石川遼さんはすごい人なんだなと思いました」とは、同組で回ったプロデビュー戦の中野麟太朗の言葉。スタートの10番パー4、フェアウェイの両サイドを埋めた大ギャラリーを前にして、そんな思いを抱いていたという。今週は石川が最も得意とする大会。スタートダッシュを期待するファンがいつも以上に詰めかけた。
だが、初日は期待通りとはいかなかった。12番パー4で20メートル近いロングパットを沈めてバーディ先行も「15番ぐらいからショットが左、左となってリズムが作れませんでした」。17番パー3ではグリーン左からのアプローチを寄せ切れずにボギー。名物ホールともいえる18番パー5はティショットを左に曲げて、3オン2パットのパー止まりだった。
後半も4番でバーディを先行させたが、直後の5番で3パットのボギー。6番パー4はティショットを左に曲げると、「あまりフライヤーを計算しない距離」という残り110ヤードからの3打目がグリーンをオーバーし、ダブルボギーを叩いた。
そんな苦しいラウンドの後は大会アンバサダーとして、3年連続となるゴルフクリニックを開催した。マイクを付けた状態で自身のスタート前のルーティンを実際にボールを打ちながら解説。さらにその内容をアマチュアゴルファーでも実践できるような形に落とし込んでいった。
300ヤード超えのドライバーショットを披露し、集まったギャラリーから拍手が起こると「きょう、コースではほとんどなかったショットですね。やっぱり練習は信用できない」。自虐的な言葉で笑いを誘う場面もあった。
とはいえ、ゴルフクリニックが開催されたのはショット練習が終わった後。うまく修正できたからこそのナイスショットという見方もできる。2日目に向けては「良くなってきたからこそ、飛ばしたいホールで振りにいき、左に行っている。その辺りもしっかり警戒していきたい」。大会5勝目と史上7人目の連覇へ、御殿場の石川がこのまま終わるはずがない。(文・田中宏治)
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