<TOTOジャパンクラシック 3日目◇8日◇瀬田ゴルフコース北コース(滋賀県)◇6616ヤード・パー72>
飛ばないけど、曲がらない。正確なショットを武器とする堀琴音が待ち望んでいた特別賞が、今大会では用意されている。大会期間中のフェアウェイキープ率1位の選手に賞金100万円(複数均等割り)が贈られる「ドライビングアキュラシー賞」。意欲はかきたてられる。
「こういう賞があるのはうれしい。初めてじゃないですか。ドライビングディスタンス賞は毎試合のようにあるのに…。モチベーションが上がります。ちょっと頑張りたいなぁ」
前日までの2日間のフェアウェイキープ率は89.3%(25/28)で、木村彩子、ペ・ソンウ(韓国)と並んで1位。この日は14/14の100%を記録し、3日間のトータル92.9%(39/42)で単独1位に立った。
唯一の“ピンチ”は7番パー4だった。ティインググラウンドから250ヤード地点のフェアウェイ幅がわずか15ヤードほどしかない、最大の難所ともいえるホール。ティショットはフェアウェイからほんの少しだけ外れたファーストカットに落ちた。「あそこは狭いんですよ。アメリカ的に(フェアウェイキープに)入れてくれないかな。ダメかな」とホールアウト後に悔しがったが、スタッツでは願いが通じて“セーフ”となっていた。
正確なティショットからチャンスを作り、この日は5バーディ・ボギーなしの「67」で回った。トータル9アンダーで前日の25位から8位にジャンプアップ。ご機嫌の“琴音先生”は悩めるゴルファーに向けて、真っすぐ飛ばすコツも伝授してくれた。
「力むと曲がるので、まず力まないこと。私はそこだけを意識しています。あと今年はアライメント(向き)をすごく意識している。フェイスの向きをしっかりターゲットに向けるのはすごく難しいし、試合で疲れてくるともっと難しくなる。私はターゲットを遠くじゃなくて、近くに設定します。ティインググラウンドの先とかです。アドレスはスクエア。プロアマでゲストの方にも聞かれることがあるけど、『アドレスがすべてです』と答えています」
今季のフェアウェイキープ率は前週まで81.32%で、ただ一人80%を超えている。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は2017年からスタッツにフェアウェイキープ率を加えたが、過去7年で最高は22年に酒井美紀が記録した82.66%。かつて「ゴルフを始めてから一度もOBを打ったことがない」と豪語していた曲げない女子プロの代表を超える好機が訪れている。
「そういうデータがあることは初めて知ったけど、82%なんて美紀さんすごすぎます。私は81%だけど、1%の差は大きいです」
10月に「日本女子オープン」を制し、メジャーチャンピオンとなった。お次は自分の持ち味である「曲がらないゴルフ」を証明するタイトルを取りにいく。まずは今週、100万円ゲットでシーズン最終盤に弾みをつける。(文・臼杵孝志)
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