<TOTOジャパンクラシック 初日◇6日◇瀬田ゴルフコース北コース(滋賀県)◇6616ヤード・パー72>
32歳の渡邉彩香が有言実行の好スタートを切った。5バーディ・1ボギーの「68」で回り、3年ぶり出場の日米共催大会を7位で滑り出した。好調の要因は2日前の練習ラウンドで「すごくいいです」と胸を張っていたドライバーショット。前週の「樋口久子 三菱電機レディス」からバッグに入れているブリヂストンスポーツの「BX2 HT」が、スコアメークの起点となった。
「そうですね、ドライバーショットは良かったですね。もう一段上を目指したい気持ちはあるけど、試合でこれくらいならまずまずじゃないかな。アライメントとか、ポイントを少し直したら気持ち良く打てるようになりました」
3週前の「富士通レディース」では、別モデルのドライバーを2本入れてラウンドするなど、飛ばし屋にとって最大の武器であり、同時に不安材料でもあったドライバー選びに試行錯誤していた。新相棒は9月発売のアベレージゴルファー向けモデルで、「すごくやさしい」と評判のつかまり重視型。スライスに悩むアマチュアには朗報の一本だが、フェードヒッターの渡邉はつかまりを抑えながら操作。プロならではの技術でバーディチャンスを量産した。
13番パー5ではティショットを残り225ヤードまで運び、2オンバーディ。続く14番も会心のドライバーショットでバーディを奪った。「まだ納得できる感じではないので、そこまで振っていないけど、なじんできたらもっと振れるようになるかな」。この日のフェアウェイキープ率は50%(7/14)で、ドライビングディスタンスは平均255.5ヤード。ひと振りごとに感じる手ごたえは、2日目以降さらに高まりそうだ。
この大会は3年ぶり8度目の出場で、最高は2017年の5位。「以前は優勝してアメリカに行きたくて、変に力が入っていた。今はシーズンの中の一つの試合という感覚ですね」。20代半ばまでは米国志向が強く、「一度はやっとかないと後悔すると思った。2次で落ちちゃったけど」と、米ツアーの予選会に挑戦したこともある。だが、今大会の前身「ミズノクラシック」時代を知るベテランとなった今は、肩の力を抜いて臨んでいる。
「まだ初日。早いけど、優勝できたら米国に行きます。トライしたいという気持ちは自然だし、自分でもそう思っている。練習場とかでもいいスイングだなぁと思えるようになったし、すごく楽しみです」
ミセスとなっても、向上心に衰えはない。この日、7学年上の上田桃子が第一子となる男児出産をSNSで報告。そのことを知ると「すごくうれしい。良かったです」と自分のことのように喜んだ。
自身も“母になる”ことを考えた時期はあったが、今は「もっとうまくなりたい」というゴルファーの本能に従っている。「ダンナさんも『俺も米国に行きたい』って応援してくれているので」。脱力して挑む米国行きの切符。豪快なドライバーショットがパスポートとなる。(文・臼杵孝志)
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