30年目の正直!?「買うボーイ」で一世風靡したホンダ初のオリジナルSUV 満を持しての再々市販化だ 初代を追い越せるか

かつての人気SUV「CR-V」。しかし、日本では一度市場から姿を消し、現在は特殊なリース専用車として静かにその名をつなぐのみです。ホンダの世界戦略車に、母国市場で一体何が起きているのでしょうか。

世界で売れるのに… なぜ5代目は日本で大苦戦したのか

 ホンダは2025年10月9日、SUVモデルの「CR-V」が1995年の初代登場から30周年を迎えたことを記念し、特設サイトを開設したと発表しました。

 また、世界での累計販売台数が1500万台を突破したことも合わせて明らかにしています。CR-Vは過去10年間で最も売れたホンダ車であり、特に北米市場ではホンダの屋台骨を支える最重要モデルになりました。

 CR-Vは、乗用車のような快適性とSUVの実用性を両立させ、日本で「ライトクロカン」というジャンルを切り拓いたパイオニアです。しかし、世代を重ねるごとに北米市場のニーズに合わせて大型化したため、2018年に日本へ再投入された5代目は、厳しい現実に直面します。

 最大の要因は、価格に見合う価値を提供できなかったことです。ほぼ同時期に復活したトヨタ「RAV4」より60万円以上高い値段設定でありながら、内装の質感が価格に見合っていないとの指摘もあり、十分な納得感をユーザーに提供できていませんでした。

 加えて、「N-BOX」の大ヒットにより「ホンダ=手ごろな小型車」というブランドイメージが定着したことも、高価格帯SUVを販売するには逆風となりました。結果、CR-Vは2022年に再び日本のラインアップから姿を消してしまいます。

 では、なぜ今、リース専用車としてその名が復活したのでしょうか。

本命登場までの橋渡し役 リース専用FCEVの戦略

 2025年10月現在、日本でその名を引き継ぐのは、燃料電池車「CR-V e:FCEV」のみ。しかも、法人などを対象としたリース専用という位置づけです。これには、ホンダの周到な戦略が隠されています。

 まず、水素ステーションが全国に約160か所しかないというインフラの制約があります。また、809万円を超える車両価格は一般ユーザーには高く、メーカーにとっても先進技術車の再販価値を管理するリスクがありました。リース形式は、これらの課題を解決する合理的な選択だったと言えるでしょう。

 このモデルの真の役割は、販売台数を追うことではありません。来るべき量販モデル(e:HEV)が登場するまでのブランドの橋渡し役であり、ホンダの水素技術を目に見える形で披露する、いわゆる「走るショールーム」として、ブランドイメージを刷新する役目を担っています。

 その本命モデルの登場が、いよいよ現実味を帯びてきました。とはいえ、復活への道は平坦ではありません。予測価格帯は450万~550万円と、5代目の失敗要因となった「割高感」に再び直面する可能性があります。

 市場にはベンチマークとなるトヨタ「ハリアー」が存在し、さらにホンダ自身のヒット作である「ZR-V」との厳しい内部競合も想定されます。

 今年10月開催の「ジャパンモビリティショー2025」では、ハイブリッドモデルの「CR-V e:HEV」が市販予定車として出展されることがホンダから発表されています。

 CR-Vの復活劇は、単に一台の新モデルの成否に留まりません。それは、グローバル商品を再び母国(日本)に根付かせられるかという、ホンダ自身の「日本市場への適応力」が厳しく問われる試金石だと言えるでしょう。

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