驚異の「ガード下スレスレバス」まもなく見納め 「ここだけの“改造車”」がアダに? 珍風景が生まれたワケ

桁下制限わずか2.7mのガードを専用の改造車両でくぐる神鉄バスの路線バスが、ルート変更のため、まもなく見納めとなります。

ペタンコなバスが走る君影団地線

 神戸電鉄グループの神鉄バスが運行している、線路の下をギリギリの高さで通る路線バスがまもなく見納めとなります。

 神戸電鉄の鈴蘭台駅(神戸市北区)の高架下を道路が通っています。このガードの高さは2.7m。そのため既存のバス車両だと無理ですが、専用の改造車両を用意してギリギリの高さで通過しているのです。

 このガードを通るのは神鉄バスの君影団地線です。日中の本数が少ない時間帯でも毎時4本程度が設定されています。朝と夕方以降は本数が倍以上に増え、バスがガードをくぐる風景が頻繁に見られます。

 しかしこの君影団地線専用のバス車両が老朽化し、後継車両の確保が難しくなったため、2025年10月18日のダイヤ改正からガードを通らないルートに変更へ。これにより高さスレスレで通過するバスの姿は見られなくなります。

 現在使われているベース車両は、日野「リエッセ」とその同型車のいすゞ「ジャーニーJ」です。鈴蘭台駅周辺などの狭い道路を走るため小型の車種が採用されていますが、さらに低いガードをくぐるため屋根の高さを抑える改造が施されています。しかし「リエッセ」「ジャーニーJ」ともすでに生産が終了しており、ガードをくぐれる後継車両の確保が困難とみられます。

 先述のとおり、鈴蘭台駅のガードは高さが2.7mしかありませんが、かつては2.5mでした。2009年に車道を20cm下げる工事が行われ、小型の消防ポンプ車などが通れるようになるなどの改善が図られています。この関連で、2.5mの高さだった頃から使用されているバス車両の屋根はペタンコな形状で、今のガードの高さに比べると余裕があります。

君影団地線はどんな路線?

 君影団地線は、鈴蘭台駅から南西側にある鈴蘭台第5団地や住宅地などを結ぶバス路線です。

 建設から50年が経過している鈴蘭台第5団地は、大都市の郊外でよく見られる公団住宅の建物が並んでいます。周辺は住宅街で、バスの車窓からは高台の丘に住宅がびっしりと並ぶ景色も見られます。団地とその周辺は駅から直線で1.5kmほどですが、地形の起伏が激しく、徒歩や自転車で駅に向かうには厳しいところです。

 君影団地線は団地を一周して鈴蘭台駅に戻る系統に加え、団地を通って西鈴蘭台駅まで行く系統もあります。団地を一周して戻る路線の所要時間は15分程度です。

 いずれの系統も、朝9時台までは駅の東側にある「鈴蘭台駅前」のバス停を発着しています。一方で10時以降は、先述のガードをくぐって駅の西側にある「ダイエー前」のバス停から発車しています。つまり出発のバス停が、時間帯によって「駅前」から「ダイエー前」に変わるだけ、というのが実態です。

 ダイエー前バス停は狭く、バスはいったんバス停に前進して入り向きを整えた後、バックして乗車位置に停め、乗客を乗せています。

 10月18日のダイヤ改正では、君影団地線のルートが変更され、高架下を通らずに鈴蘭台駅の南側にある一本松踏切を通る経路となります。これにより、ダイエー前と1つ隣の郵便局前のバス停が廃止されます。

 このほか、運賃の支払い方法や乗車方法も変更されます。現在は「前乗り後ろ降り」方式で、運賃支払いは乗車時ですが、ダイヤ改正後は「後ろ乗り前降り」、降車時支払いに変わります。

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