
<日本女子オープン 事前情報◇30日◇チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県)◇6616ヤード・パー72>
今季1勝の柏原明日架にとって、宮城県で行われた先週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」は刺激をもらう一戦になった。同じ宮崎県出身の菅楓華がツアー初優勝を挙げたのがその理由。それに続けとばかりに、初の日本タイトル獲りを目指していく。
プロアマが行われた30日のコースでは、ラウンド後、入念に練習グリーンでボールを転がす姿が目に入ってきた。その手にはエースとは違う、見た目も鮮烈な真っ赤なパターが握られている。
これが今週の男女ツアーからオデッセイが投入を開始した『スクエア 2 スクエア』シリーズの最新作だ。同社が手がけるいわゆるゼロトルクパターの最新モデルで、ヘッド形状が異なる3つのヘッドが用意されていた。そのうち、柏原が“ビビッ”と来たのが、現在使うモデルと同じ、半円型マレットの『S2S TRI-HOT ROSSIE(スクエア・トゥ・スクエア トライホット ロッシー)』だった。
「本当に良くないと投入しないタイプ」という柏原だが、日本一の女子ゴルファーを決める大舞台で即使用することを考えていると明かす。もちろん、大きな理由がそこにはある。
「私はテークバックはまっすぐ引けるけど、フォローの時にアッパーっぽく(ヘッドを)立ち上げてしまうクセがある。このパターは、もともと重心が前にあるから、自然と前に動いてくれるし、ネックが後ろについていることで押してくれる感覚もある。フェースが上を向かないよう、まっすぐ、まっすぐと地面スレスレで動いてくれるので、悪いクセが軽減するパターだなと思いました」
形状もエースと同じなため違和感がなく、柏原の弱点を補うような構造が「ドンピシャ」だった。当初は右に出ることが気になったが、それも“柏原仕様”に調整してもらい解決。あとは開幕前日の練習ラウンドなどで最終テストを行い、本番当日、バッグに入れるかを判断するつもりだ。
「私と同じように、フォローで(ヘッドが)上がるクセがある人や、テークバックが思ったように引けない人には向いている。目をつぶってもまっすぐ引いてくれる。まっすぐ引くことができて、まっすぐ出せますね」。そんな“魔法のような”効果を実感し、納得の表情を浮かべた。
今季は8月の「NEC軽井沢72ゴルフ」で6年ぶりのツアー優勝も手にした。それもあり今は「1勝してる余裕もある」と、静かな気持ちで決戦を待つことができている。「先週は楓華ちゃんが優勝して、荒木ちゃん(熊本県出身だが宮崎の日章学園高卒の荒木優奈)も勝った。咲希ちゃん(永峰咲希)もだけど、宮崎県勢が活躍している。もっともっと盛り上げたいですね」。この事実は何よりも力になる。
優勝後も「ゴルフ5レディス」2位など、2度のトップ10入り。10月には所属先大会の「富士通レディース」、マネジメント契約先が主催の「NOBUTA GROUP マスターズGC レディース」という大事な大会も控えている。「それまでにいいプレーができれば」。心強い新兵器も得て、実りの秋を謳歌したい。(文・間宮輝憲)