
世界最大級のホイールローダーが、栃木県の砕石メーカーである株式会社藤坂に納車されました。車体は、アメリカのキャタピラー社製「CAT995-12」です。どれだけ大きいのか、実車を取材してきました。
日本国内に初導入された超巨大ホイールローダー
世界最大級のホイールローダーが、栃木県にお目見えしました。車体は、アメリカのキャタピラー社製「CAT995-12」で、購入したのは砕石メーカーの株式会社藤坂(栃木県佐野市)です。
販売元の日本キャタピラーによると、日本国内で「CAT 995-12」を導入したのは藤坂が初めてとのこと。すなわち日本で最も大きく、かつ1台しかないホイールローダーということになります。
そんな「CAT 995-12」の納入式典が2025年9月25日に藤坂の音坂工場で執り行われたので、取材してきました。
砕石は道路や生コン用の材料として使われ、社会インフラに欠かせない素材。藤坂は、長年にわたり国内最大級の生産量を維持し続けている砕石メーカーです。同社は作業効率を追求するために超大型重機を多数導入しており、重ダンプへの積み込みなどで「CAT 995-12」は使用されます。
そもそも、ホイールローダーとは、その名の通り足回りがホイール、すなわちタイヤ式の積み込み機械(ローダー)のことを指します。ブルドーザーや油圧ショベルなどのようなクローラー、いわゆるキャタピラ式ではないため、悪路走破性などの面ではそれらよりも劣るものの、逆に速度を出すことが可能で、舗装された場所では機敏に動き回れます。
こうした特性から、ダンプトラックになどへ砕石や土砂を積み込むといった作業で活躍するのです。
巨体を動かすエンジンもケタ違いの大きさ
「CAT 995-12」の重量は246t、全長は約19.7m、全高は約7.12mあります。ちなみにこの高さはマンションであれば、おおむね3階の床面に相当します。ただ、バケットを一番上まで持ち上げた場合、アームとバケットを繋ぐヒンジピンの高さは約8.8m、バケット先端の爪先は約12mの高さとなります。
バケット幅は約6.7m、バケット容量は27.5立方メートルあり、一般的な家庭用の浴槽で約110杯分に相当するといいます。
ちなみに、日本国内では大型といえる「CAT 980」の場合、重量は約29.7t、全長は約9.8m、全幅は約3.45m、全高は3.8mです。重量換算であれば「CAT 995-12」はその8.4台分に相当します。ここまでの“巨体”を動かすエンジンも特別で、排気量7万8100cc(78.1リットル)の「CAT3516E」V型16気筒ターボ・ディーゼルを搭載しています。
燃料タンク容量は3240リットルあるほか、タイヤサイズは60/80R57という、これまたとてつもなく巨大なものを履いています。なお、現場で聞いたハナシではタイヤ1本だけで約1千数百万円、タイヤ交換時は軸ごとに行うため、2本セットで工賃含め数千万円かかるとのことでした。
なお、日本キャタピラーの担当者に聞いたところ、「CAT 995-12」は日本では製造されていないため、アメリカからの輸入車になるそうです。しかも、完成車では運搬できないため、部品としてトレーラー8台、大型トラック8台に分けて音坂工場へ搬入。7月から1か月ほどかけて組み立てたと述べていました。
その大きさも別格でしたが、使えるようにするまでの日数にもまた驚かされました。
【動画】デカい!「世界最大級ホイールローダー」圧巻のデモ展示