
<ANAオープン 最終日◇21日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>
金谷拓実とのプレーオフ2ホール目。石川遼は3番ウッドでのティショットは右のフェアウェイバンカーにつかまり、アゴの近くまで転がった。「風が弱かったのか、思ったより飛んでしまった。ドライバーでバンカーを越すか、3Uでバンカー手前か。(クラブ選択は)ちょっと悔やまれます」
バンカーからの2打目は8番アイアンで「いい当たり」でもグリーンに届かず花道へ。3打目のアプローチを1.6メートルほどオーバーし、パーパットはラインを読み切れずに敗戦。ティショットのクラブ選びを悔やんだ。それでも今季ベストフィニッシュの2位には納得できる部分も少なくなかった。
首位と3打差から出たこの日、4番(パー4)でボギーが先行。5番パー5では3打目のラフからのアプローチを1メートルに寄せて取り返す。続く6番パー4は、この日最も難しいホール。2打目は右のラフからピンまで190ヤード。「4Uだと100パーセント大きいし、ラフからドロップすると奥まで行ってしまう。5番アイアンで手前でもいい」とリズムよく振り抜くと、右手前目に切られたピンに真っすぐ飛び、手前3メートルに乗せる。バーディパットはきれいに沈める会心のバーディでいい流れを作る。
9番パー5でも2オン2パットのバーディとすると、上位陣が落としたこともあり首位タイに並んだ。しかし後半に入って徐々に様子が変わってくる。特に「14番からバタバタで」とパーオンを逃してトラブルになったり、ティショットを林に曲げたり、17番でグリーン奥からチップインパーと苦しい時間が続き、いつスコアを落としてもおかしくない状況でしのぎ続けてプレーオフに進んだ。
全体を通してみると「最終日も自分がやりたいプレーはできました。全体的に冷静にはやれていました。プレーオフ2ホール目のほんとにちょっとしたところ。そこのティショットですね。今年間違いなく一番いい一週間でした」。
4日間のパーオン率は全体1位タイの84.722%を記録。最終日はグリーンを外すことも増えたがほぼしのげた。「今年取り組んでいるアプローチが、緊張した場面でも成果が出せたのが弾みになる」。通算21回目の優勝は逃したが手にした収穫は多かった。今季2度目のトップ10入りだが、秋の陣は存在感を示してくれるはずだ。(文・小高拓)