
<ソニー 日本女子プロ選手権 事前情報◇10日◇大洗ゴルフ倶楽部(茨城県)◇6840ヤード・パー72>
“第二の地元”大分県で行われた4月の下部ステップ・アップ・ツアー「フンドーキンレディース」でルーキー優勝。そんな23歳・水木春花は最近、悪夢にうなされていた。「(ティショットで)林に曲げて出すだけ。毎晩そんな夢を見ていたけれど、実際に来てみたらプロテストの時より広く感じています(笑)」。名門・大洗GCには苦しい思い出ばかりが残っている。
この女子プロNo.1決定戦がメジャー初出場。会場は昨年、6度目の挑戦で最終プロテストに合格した地でもある。「(自分は)全然コースを覚えられないタイプだけど、大洗だけは1ホールも欠かさずに全部覚えていました」。ピンポジションもミスしたホールも、そして合格のために練った戦略も、すべて覚えている。
「プロテストの時は(狙いどころが)点だったものが、(今回は)“これくらいフェアウェイが使えるんや”って。もうちょっとのびのびやれると思う」。4日間の苦しい記憶が、合格の喜びで書き換わることはなかったが、あのとき引きつっていた表情も、いまでは柔らかくて明るい。
今年から選手権の予選会が廃止され、ステップ優勝者に出場権が与えられた。「自分の実力を図るためにも、いただいたチャンスを最大限使いたい。いまの実力で、調子で、どこまでいけるのか。楽しみです」。プロテストのときは「ミスしたらダメという悪いプレッシャー」だったが、いまは「楽しいプレッシャー」と余裕も生まれている。
今季はステップが主戦場。優勝を含むトップ10入りは4回、明治安田ステップ・ランキング(賞金ランキング)は3位で、上位2位までに与えられるレギュラー出場権争いを演じている。「あまりとっぴなことは言いたくないので…。予選を通過して、最終日まで回りたいというのがまず目標です」。レギュラー出場は予選落ちした7月「大東建託・いい部屋ネットレディス」以来2回目。これからの切符争い、そして来年に向けても、このメジャーで自信をつけたい。
そのなかで、新たな武器が支えになりそうだ。最新アイアン『ミズノ プロ M-13』の投入を即決。使用していた『ミズノ プロ 243』の後継モデルということもあるが、「よりシャープな顔で、抜け感も良く、コントロールもしやすい」とすぐにスイッチした。
「243も良かったけれど、M-13は高さのコントロールがよりしやすいです。距離が飛ぶというわけではないけれど、フィーリングが良かった。構えた顔がかっこいいことが第一。リーディングエッジやトレーディングエッジのシャープさとか、めちゃくちゃかっこいいですね」。クラブについては自称“面食い”の水木も太鼓判を押す。
メジャーらしく距離が長く、空中ハザードが多いこともあり、グリーンを狙うショットでアイアンを使える回数は、通常の大会よりも少なくなりそう。それでも新アイアンで繰り出す得意のショットが、大洗攻略に一役買うことになるはずだ。(文・笠井あかり)