「たくさんの方に心配や迷惑をかけた」柏原明日架が涙とともに振り返った“苦難の6年間” 20代最後のシーズンに考えていること

<NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 最終日◇17日◇軽井沢72ゴルフ北コース(長野県)◇6625ヤード・パー72>

軽井沢で最後まで優勝を争ったのは、2014年のテストに合格したプロ12年目の柏原明日架と、昨年のプロテストにトップ合格しルーキーイヤーを過ごしている寺岡沙弥香だった。29歳と22歳によるシーソーゲームは、トータル14アンダーで1打上回った柏原に軍配が上がった。
柏原にとっては、これが2019年の「マスターズGCレディース」以来となる優勝。初優勝を含む年間2勝を挙げたこの年以降は、シード落ちなど数々の苦難も経験した。「6年は長かった。6年以上経ってると思うぐらい、長く感じました」、「這い上がれないと思っていた。優勝するイメージなんて全然湧かない時期でした」など、苦しい時間を振り返った。ラウンド後には幼少期からコーチを務めてきた父・武道さんと抱擁。涙も流した。

今季も寺岡をはじめ、優勝した入谷響ら新人の活躍がめざましいが、この6年の間にも、多くの若手選手が登場してはツアーをけん引してきた。怖いもの知らずで、ピンだけを見てプレーする姿は、柏原に「自分自身も『若い時はあんな感じだったのかな~』って、一緒に回った後輩たちを見て思う部分もありました」という感情をもたらしていた。

自分のことを「中堅、ベテラン」と位置づける年齢にもなった。そして「中堅、ベテランだからこそできるゴルフもきっとあると思ってやっていた」とも話す。今年も西郷真央、山下美夢有が海外メジャーを制すなど、米国で日本勢の活躍が顕著だ。「今の日本のツアーのレベルがそれだけ高いんだなと思った。トップ選手が抜けた今でも、レベルが高くなったこのツアーで、どれだけできるのか、とか。どれだけ上に食い込めるのかというのも考えられた。そういう考え方は、12年目の今だからできることかな」という形で、その事実を受け止めてもいる。

18歳でプロになり、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で初優勝を挙げたのが23歳。そして来年の1月30日には30歳になる。この6年間を振り返ると、22年にはメルセデス・ランキング79位と低迷し、シード喪失でQT行きを余儀なくされたり、それをきっかけに初めて父以外のコーチとして森守洋氏に師事したりと、大きな変化があった。24年2月には一般男性との結婚を発表したが、「今年」離婚も経験した。会見の席では、「たくさんの方に心配や迷惑をかけて、ゴルフを続けてもいいのかなと思う時間もあった」と言って涙を拭うシーンもあった。

30歳を目前にし、「自分の体と会話ができるようになったと思う」とも話す。「今まではかっこつけてトレーニングをしてみたり、上位の選手のマネ事をしてみたりという時期もあった。いまは練習時間やトレーニングの内容を含め、自分の体と会話ができるようになってきている」と成長も感じている。「ケガも少ない方だと思うし、風邪をひくとかも少なくなってきている。それもひとつの技術だと思う」。経験を積んだからこそ言える言葉だ。

20代として戦う最後のシーズンに手にした、価値ある1勝。「感謝したい人たちがいっぱいいる。その人たちのためにも、もっともっとこれから頑張っていきたい」。その想いを胸に、円熟味を増したプレーで次の勝利を目指していく。(文・間宮輝憲)

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