
<北海道meijiカップ 最終日◇10日◇札幌国際カントリークラブ 島松コース(北海道)◇6642ヤード・パー72>
国内女子ツアーは最終日、河本結が4打差を逆転してトータル9アンダーで今季初優勝を飾った。優勝賞金1620万円を獲得し、賞金ランキングも4位から2位へ浮上。開幕から使用する14本のクラブは変わらず、シーズン中の調整は行わないスタイルを貫いている。
4月の「富士フイルム・スタジオアリス」では、約10年使い続けた2016年モデルのキャロウェイ『XR OS』ユーティリティが「溝が擦り減って、雨だとフライヤーする。さすがに限界。(クラブを替える)きっかけになったかなと思います」と口にしていたが、同モデルの中古クラブをメーカーが用意。「男子プロでも20年使う選手はいる。だからこそ、こだわりを持っていいと思う」と話した。
今大会の舞台は洋芝でフェアウェイが狭く、ラフは重くて埋まりやすい。小さく速いグリーンには傾斜も多く、ショットの精度とショートゲーム力が問われた。その中で勝利を支えたのは「ウェッジとパター」。特に、「エースパター」のオデッセイ『ホワイト・ホットOG ロッシーS』が好調。「久しぶりにエースパターに戻して、やっぱり感覚が良かったので、いい感じで打てました」と振り返った。
河本はグリーンの速さに応じて、モデルは変えずに、ロフト角の異なるパターを使い分けている。その裏側について河本のサポートをするパッティングコーチの橋本真和氏に話を聞いた。
前戦の「大東建託・いい部屋ネットレディス」は芝が長く柔らかい8フィート。ボールを打ち出したときに芝の影響で「引っかかってしまう」ことから「上に少し飛ばすために」ロフト4度のパターを選択。これは、昨年の「AIG女子オープン」(全英女子)で試しており、そのときに記録した数値を参考にして決めたことである。
今大会は11フィートの速いグリーンに合わせ、ロフト3.5度の“エース”に戻した。橋本コーチは「結さんは少しハンドファーストでインパクトするので、打ち出し角度が低くなりやすい。なので、本来は3度のパターを0.5度寝かせています」と打ち方も考慮したうえでの調整だ。
ちなみに、ロフト4度では打ち出し角度が「1.8度ぐらい。2度ないぐらい」で、ロフト3.5度だと「1.75度とか1.5度前後」になり、これが今大会でのグリーンに合った打ち出し角度となった。
ストロークなどは特に変更がない。「練習は同じことをやり続けています。『来週以降はこういうグリーンだよね』って話しながら、ロフトを変えて、データを取っています」。パターには“大信頼”を置いており、モデルは長らく変えていないが、開催コースに応じてロフトの調整を行い“今週のベストパター”を作っている。
橋本コーチは弟・力や他の選手のサポートもしていることから会場に毎回帯同できないため、遠隔でのコーチング体制も整備。ビデオ通話や動画、パッティング解析センサー「CAPTO」(キャプト)でデータを共有し、現場と同等の精度で調整を行っている。こうした綿密な対応、グリーンに合わせてパターを選択することが平均パット数(パーオンホール)『1.7507』でツアー1位という数字を支えている。
また、1Wシャフトについて、サポートするフジクラもオフテストを振り返り、フェードが持ち球の河本の好みをこう明かす。
「昨季まで『NX GREEN』(50SR)を使用していましたが、思ったよりスピンが入って『飛距離をロスしていた』と悩んでいました。ただ、今回の『NX VIOLET』の50Sでは2500rpm前後まで抑えられて距離が伸び、つかまったフェードが打てるようになったと大変喜んでくれました。フィーリングも『適度に動くものの全体的な動きでクセがない』点を気に入ってくれています」(同社・飯村俊哉氏)
なお、パターの勝数は今季20戦のうちオデッセイが10勝目(岩井千怜、吉田優利、穴井詩、安田祐香、神谷そら、稲垣那奈子、内田ことこ、小祝さくら、渡邉彩香、河本結)で、ピン6勝(3勝の佐久間朱莉、工藤遥加、菅沼菜々、高野愛姫)、テーラーメイド2勝(高橋彩華、入谷響)、スコッティ・キャメロン2勝(申ジエ、永峰咲希)。
ゴルフボールはタイトリストの9勝(3勝の佐久間、工藤、穴井、ジエ、稲垣、高野、高橋)にスリクソン(岩井、安田、菅沼、入谷、内田、小祝)が6勝で続く。ブリヂストンが2勝目で(吉田、渡邉)、キャロウェイも2勝目(神谷、河本)、テーラーメイド(永峰)が1勝となっている。
【河本結のクラブセッティング】
1W:キャロウェイ ELYTE ◆◆◆(9°スピーダーNXバイオレット50S)
3W:キャロウェイ ELYTE(16.5°スピーダーNXバイオレット50S)
3,4U:キャロウェイ XR OS(19,22°MCH70-S)※16年モデル
5,6I:キャロウェイ APEX PRO(N.S.PRO 850GH S)※21年モデル
7I~PW:キャロウェイ APEX TCB(N.S.PRO 850GH S)※21年モデル
48,52°:キャロウェイ OPUS(N.S.PRO 950GH neo)
58°:キャロウェイ OPUS(N.S.PRO MODUS³プロトタイプS)
PT:オデッセイ ホワイト・ホットOG ロッシーS
BALL:キャロウェイ クロムツアー プロトタイプ
グリップ:パルマックス