3年ぶりVの池村寛世はパーキープ率97% “転がしアプローチ”で開眼した脱セオリーのアドレス「体を左に向けて構える」

<リシャール・ミル チャリティトーナメント 最終日◇3日◇能登カントリークラブ(石川県)◇7142ヤード・パー72>

国内男子の新規大会「リシャール・ミル チャリティトーナメント 2025」で3年ぶりツアー3勝目を挙げた池村寛世。首位と3打差の3位タイから出た最終日に「64」で回り、2位の河本力に2打差をつけて鮮やかな逆転勝利だった。4日間で叩いたボギーは2つ。「自信を持ってアプローチを打てました」とショートゲームが勝因の一つとなったが、当週に苦手だった転がし系のアプローチのコツをつかんでいた。
最終日の14番パー5で12メートルのイーグルパットを沈めて首位に立つと、15番、16番で連続バーディとして後続を突き放す。しかし17番パー3では、ティショットをグリーン奥に外してグリーン面が下り傾斜の難しい状況だったが、ワンクッション使って難なく寄せてパーセーブ。最終18番パー5はティショットのトラブルもあり、ラフからの3打目をグリーン左奥に外す。ここでも下り傾斜のアプローチが残ったが、スピンの効いた転がしで1メートルに寄せた。上がりの連続ピンチをしのいだことで、逆転Vを手繰り寄せた。

「最後難しいアプローチでプレッシャーがかかった場面で、あれだけいいアプローチができたのはよかった」と納得と安堵の表情を浮かべて3年ぶりの優勝を喜んだ。

データで見てもショートゲームの安定感は明らかだ。4日間のパーキープ率は97.222%。パーオンを逃したのは18回あったが16回はパーセーブして、リカバリー率は88.9%。ボギーになったのは2日目の5番でカラーから20メートルの距離をパターで寄せきれなかったのと、3日目の13番でバンカーの目玉から7~8メートルに寄せるのが精一杯だったという2回。「仕方ないボギー。それ以外はボギーを打つイメージがほぼなかった」と、もったいないボギーはなかった。

今季はアジアンツアーと掛け持ちで転戦しているが、「ショートゲームが弱い」と課題に感じていた。最近は打撃練習場よりもアプローチ練習場にいることが多いという。今大会は自身の好みでグース多めの61度のロブウェッジを地クラブメーカーの『ゾディア』に作ってもらって即投入。「ゾディアのウェッジはこれから武器になる」とすでに手に馴染んでいる。

クラブだけでなく、打ち方も開眼した。「ショットに近い感じでアプローチするようになったら、よくなりました」。海外ゴルフにも精通し、池村が信頼を寄せるタイトリストのスタッフから目からウロコのアドバイスがあった。

もともと上げるアプローチは得意だったが、「そんなに難しくない花道からミスしてボギーも多かった」と転がすアプローチが苦手だった。もらったアドバイスを受けて取り入れて「体を左に向けて構える」ことだった。

今まではオープンスタンにして肩のラインはボールと正対してターゲットラインと真っすぐ構えていた。転がしアプローチのセオリーである。「肩のラインが真っすぐだと、ダウンスイングで体がつまって肩が左に回らないので、ヘッドが垂れでダフることが多かったんです。ショットは上から打つのですが、アプローチはクラブを上から入れるのが苦手でした」。転がしのアプローチはダウンブローに打つショットのようにうまく打ち込めていなかった。

アドバイスどおりショットに近い構えを作った。「ショットを打つ時は右肩を前に出してアドレスするのですが、その方がつまらずに振り抜けます。アドレスからカップを見るように左を向いたら(ダウンスイングで)つまらなくなって、体が回りやすくなりました」。

体がスムーズに回ることでダウンブローに入り、ボールをクリーンにヒットできるようになった。「しっかりスピンも入ってくれる」と下り傾斜でも距離感を合わせられるようになった。

17番のアプローチはワンクッションさせるため右足よりも外側にボールを置いた。18番は少しキャリーを出すためにボールを真ん中寄りとボール位置は異なるが、「体を左に向いてダウンブローに左に振り抜きました」と打ち方は同じイメージだった。

終盤のピンチをしのいだだけでなく、最終日の15番をはじめ、4日間でチップインバーディが4回あったことも自信になっている。「今季は日本とアジアでの優勝が目標です。日本は複数回、アジアでもがんばりたい」とさらに上を目指す。ドライバーの平均飛距離は305ヤード超えで、もともとショット力には定評はあった。苦手克服をして総合力アップ。日本の賞金王だけでなく、LIV勢が参加するアジアンツアーで優勝も本気で目指す。(文・小高拓)

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