激スピンでギュギュっと止まる! PGAツアーの定番アプローチ「速く振って弱く飛ばす」ツアーチップとは?

日本では1人の選手に1人のコーチがつくのが一般的だが、米PGAツアーではスイングコーチとは別に、ショートゲームコーチがいることも珍しくない。実は日本にも、『タイトリスト ボーケイウェッジコーチ』の肩書きを持つアプローチ専門コーチ、永井直樹がいて、ツアープロたちをサポートしている。永井が勧める松山英樹らPGAのトッププロが行っている「速く振って弱く飛ばす」アプローチとは?
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■PGA選手はハンドファーストに打つ

僕は昨年からタイトリストのボーケイウェッジコーチとして、ボーケイウェッジをフィッティングしながら選手たちにアドバイスしています。ボーケイウェッジを1人でも多くの選手に使ってもらいたい目的もあって、シーズンを通して男女トータルで10試合に行くのが目標です。今年の「中日クラウンズ」では、練習日とプロアマの2日間で40人の選手と話しました。

もともとツアー出場を目指していましたが、実はアプローチが苦手で……。下手は下手なりの理論があって、正面から見てシャフトを真っすぐにしてバンスを当てる打ち方をしていました。でもザックリする。
一方で、PGAの試合を見ていると、アプローチが得意と言われているタイガー・ウッズやフィル・ミケルソン、ジョーダン・スピース(いずれも米国)がハンドファーストにアプローチしていたのです。

これは何だろう? と疑問に思っていたところで、(プロコーチの)目澤秀憲さんと出会いました。ある日、目澤さんが「すごい理論を見つけた」と言ってきて、大事なのはヘッドの“最下点”だと分かったんです。

スピースやジャスティン・トーマス(米国)のアプローチを(弾道計測器の)トラックマンで計測してみると、ヘッドの“最下点”はボールに当たった後、かなり先に来ている。その後、目澤さんに教わりながら、僕も僕なりに勉強して時間をかけたら意外とできて「これなんじゃないか?」という打ち方に辿り着きました。
■ミート率を低くするとスピンがかかる

そもそも昔のアプローチはゆっくり振ってゆっくり飛ばす打ち方が主流でした。それも間違いではありません。しかし、松山英樹プロやスコッティ・シェフラー(米国)のウェッジは速く振っているのに、ボールは弱く飛んでいきます。つまり、ミート率が低いんです。

ドライバーは飛ばすクラブなのでミート率が1.5近くになる。でもウェッジは飛ばしたくないので、松山プロのミート率は0.7くらい。しかも風の影響を受けないように低く飛ばしています。大事なのはアタックアングル(入射角)。フェースを開いてロフトを寝かせながら、ハンドファーストに上からボールを打つと、ミート率が下がりボールは弱く飛びます。

このダイナミック(インパクト)ロフトとアタックアングルの差が『スピンロフト』で、60度前後のときに一番スピンがかかります。同じ30ヤードのキャリーでも、松山プロは速く振って、一般ゴルファーの2倍くらいのスピンをかけて止めているのです。PGAツアーでは、この低く出してスピンで止めるアプローチを『ツアーチップ』と呼んでいます。
永井直樹
ながい・なおき/1996年生まれ、愛知県出身。ツアープロを目指していたが、プロコーチの目澤秀憲に習ったことをきっかけにティーチングの道へ。現在は『タイトリストボーケイウェッジコーチ』として男女ツアー会場でウェッジのレッスンやフィッティングを行っている。

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『アプローチの神』や『ウェッジの天才』と呼ばれる伊澤秀憲にスピンアプローチの打ち方を聞くと、握り方が大事だという。関連記事の【“アプローチの神” 伊澤秀憲が女子プロの卵に伝授 フックグリップで握るだけでスピンがかかる!】をチェックしよう。

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