
<資生堂・JAL レディスオープン 初日◇3日◇戸塚カントリー倶楽部 西コース(神奈川県)◇6766ヤード・パー72>
注目ルーキー・青木香奈子が、プロデビュー戦の「Vポイント×SMBCレディス」の第1ラウンド以来、19ラウンドぶりのアンダーパーとなる「71」でラウンド。首位と4打差の17位タイと、4戦ぶりの決勝ラウンド進出に向けて好発進した。
インの10番から出ると、12番と14番でボギーが先行。だが15番パー4で左ラフからの2打目を花道から転がし上げて、3メートルに乗せてバウンスバックを決めた。折り返した2番と6番でもバーディを奪い、“赤字”ラウンド。プロデビュー以来のアンダーパーに、「ひさしぶりに気持ちよかった」と白い歯をのぞかせた。
昨年、6度目の挑戦でプロテストに合格すると、3月のデビュー戦で13位タイに入って注目を集めた。その後は、ステップ・アップ・ツアーの「大王海運レディス」でプロ初優勝を遂げたが、レギュラーツアーでは「パナソニックオープン」の41位タイが最高。現在は3試合連続で予選落ちを喫している。
「デビュー戦は怖いモノ知らずというか何も考えずにアンダーが出たので、たまたまっていう感じでした」と、今は振り返る。2戦目以降は「パッティングにすごく悩まされて…。ラフの長さにもすごく悩みました」。春先のラフはそこまで伸びないが、初夏になると深いラフの大会も増え、ティショットを曲げたときに苦戦していたという。
この日は2つの課題と向き合った。パッティングコーチの橋本真和氏とは「今週はボールのスピード、タッチを重視していました」。ラインがひと筋違いで外れるパットもあったが、「入る入らないに関わらず、タッチを合わせることに集中しました。ここ最近では気持ちよくパットはできたかな」と及第点をつける。
また今大会も深いラフが多くの選手を苦しめているが、先週の「アース・モンダミンカップ」での学びを生かしている。先週は2022年に賞金王を獲得した比嘉一貴の専属キャディを務めるなど百戦錬磨のベテランキャディ・岡本史郎氏とタッグを組んだ。「岡本さんからラフの打ち方を学んで、セカンドショットの打ち方に自信を持てたというか、すごく勉強になりました」。
岡本キャディの助言は、深いラフではヘッドが返って左に飛びやすいため「左手の3本(小指、薬指、中指)に力を入れる」ことだ。「左手3本に力を入れて、他は力を入れずに。考え方としても花道から乗せていくという感じで気楽に、あまり気負わず」。打ち方だけでなくラフの状況によってドロップして飛ばないのか、フライヤーをして飛ぶのかも岡本キャディと研究をした。
ラフに入れても恐れることはなかった。「ラフに行ったら花道から狙い。フェアウェイにいったら攻める」とメリハリをつけるマネジメントに徹した。ボギー先行の悪い流れを止めた15番のバーディはラフから花道狙いと、まさに“岡本イズム”で奪ったものだった。
昨年末のQTランクは134位。序盤戦は主催者推薦のみの出場だったが、第1回リランキングを終えて40位まで浮上した。中盤戦の出場権を自力で獲得している。「まずは予選通過をしたいですけど、課題を明確にしながら回りたい。結果的にスコアが出たらいいなと思います」。25歳の遅れてきたルーキーはまだまだ成長期だ。(文・小高拓)