2サムなのに6時間… 全米女子プロでスロープレーが引き起こされる理由

<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 3日目◇21日◇フィールズランチ・イースト(テキサス州)◇6604ヤード・パー72>

68位タイまでの78人が決勝ラウンドに進出して迎えた3日目。第1組が現地時間午前6時37分にティオフし、最終組は午前12時25分に出る2サム1ウェイで組まれた。そして競技を終えたのは午後6時15分ころ。最終組のプレーは約6時間にもおよんだ。
3日目を終えてトータルアンダーパーは2人だけ。最大瞬間風速11m/s以上の強風がコースに吹き付けたことは理由のひとつだが、プレー時間が伸びすぎているのはコースセッティングのせいでもあると考えられる。

まずは1番パー5。出だしのホールでパー5であるにも関わらず、平均スコア『5.603』で最難関となった。バーディは3人だけで、ダブルボギーは7人、トリプルボギー以上は1人。強いアゲンストのなかに飛び出していき、いきなり出鼻をくじかれる。

少しずつ待ち時間が発生するなか、とりわけ7番、8番、9番の3ホールにおいては、ティイングエリアで複数の組が待つことが当たり前になっている。

7番は315ヤードのパー4。フォローの風が吹き、ほとんどの選手にとってグリーン近くに運ぶか“ワンオンチャレンジ”のホールになる。ティイングエリアでグリーンが空くのを待つのだが、フェアウェイバンカーや砲台グリーンの影響によってアプローチの難易度が増し、平均スコアは『4.167』。距離が短くてもそれがスコアにそのまま結びつかない。

逆に、8番パー3は171ヤードと長めの設定。手前の深いバンカーに落としたり、グリーンにキャリーしてもフォローの風で勢いづいた球は奥にこぼれていく。パーオン率は37%とかなり低い。

そして9番は、ホスピタリティのために通常の9番と18番が入れ替えて設定されていて、484ヤードで2オン可能なパー5。2打目でグリーンが空くのを待つ選手が少なくない。さらに、グリーンの左手前から右奥にはクリークが流れるため、戦略的にグリーン左サイドを狙いがちなのだが、そこにはギャラリースタンドなどがあって、そこに打ち込んで救済を受けるというシーンも目立つ。

ほかにも、パーオン率28%だった6番パー4や、この日はティイングエリアが前に出て236ヤードになった15番でも、待ち時間が発生。そして最終18番。ラフに突き抜けるからとなかなかドライバーを持てず、かといってフェアウェイど真ん中のバンカーを越えるために237ヤードが必要になる。予選ではバーディよりもダブルボギーの数の方が多かった。

こんなセッティングに加え、6月のテキサスは灼熱の暑さ。木がまったくないコースでは日陰で体を休めることができず、体力も奪われる。2年前には同コースで「全米シニアプロ」が行われたが、それは5月で風もここまで強くなかった様子。グリーンのコンパクションはまだボールが止められる柔らかさで、優勝スコアはトータル18アンダーだった。

午後5時に終了を予定していたテレビ放送は急きょ、1時間延長。中断したわけでもプレーオフをしているわけでもないのに、これは異例なこととなった。

ネリー・コルダ(米国)も嘆いた。「20分かけて次のティイングエリアに向かい、また15分かけてティイングエリアに行き、また15分…。まるで勢いがない。どこにも行くところがないから、ただただ忍耐。これには慣れたくない」。

これが、PGA・オブ・アメリカ(全米プロゴルフ協会)の“お膝元”で行われてしまっている。ちなみに最終日は、3サム2ウェイで組み合わせが作られ、最終組は午前10時50分にティオフする。(文・笠井あかり)

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