
<ツインフィールズレディース 最終日◇24日◇ゴルフクラブ ツインフィールズ ゴールドコース(石川県)◇6481ヤード・パー72>
コース内にクマが出没! 石川県で行われたステップ・アップ・ツアーは前代未聞の決着を迎えた。最終ラウンドが行われていた午後0時34分に、クマがコース内に出没し競技が一時中断。警察及び行政からの指示を踏まえ協議を行ったが、選手、ギャラリーの安全が担保できないと判断し、午後0時50分に最終日の競技中止が決定した。
この結果、2日目終了時点で単独首位に立っていたルーキーの前田羚菜が、プロ初優勝をつかみとり、「すごくびっくりした」とまさかの表情だ。まさに異例の決着になったが、それでも「すごくうれしい」と満面の笑みをたたえる。
中断のホーンを聞いたのは、ハーフターン直後、11番のセカンド地点だった。皆吉愛寿香と首位に並び、最後のバックナインに入った緊張感も増していく場面だ。「(最後まで)やりたかったなぁ」というのも本音。だが、36ホール消化し、競技は成立しているため、堂々と胸を張っていい。
こちらもプロ初優勝がかかっていた皆吉は、「きょうの調子は悪くなかったし、最後までやりたかった。やっぱり悔しいですね。まさかですけど、しょうがないですよね」と、やはりすぐには消化できない。皆吉と同じく1打差の2位に終わった宮﨑乙実も「残念です。でもどうしようもないですもんね」と言うしかない。警察も会場に足を運ぶ異様な雰囲気のなか、紙一重の結果が生まれた。
前田は大阪府藤井寺市出身の19歳。奈良育英高(奈良県)出身で、2度目の受験だった昨年のプロテストに合格した。中嶋常幸が主宰のトミーアカデミーで腕を磨き、ルーキーイヤーで初優勝をつかみとった。今季のステップ・アップ・ツアー優勝者をみると、水木春花、青木香奈子、そして前田と、まだ6試合ながら3人がルーキーという“豊作ぶり”だ。「シーズンはこれから。2勝目、3勝目を目指します」。19歳は力強く、未来を見据えた。