JALが「新型機初の“旅客機の車検”」既存機とどう違う? 同社初の客室機構&伝統破りのエアバス機…「整備士魂かけた」その内容とは

JAL(日本航空)が約20年ぶりに導入した新型長距離国際線主流機「エアバスA350-1000」。同モデルに初めて自動車における車検に相当し、詳細な点検がなされる「重整備」が行われました。新型機の「重整備」は、他のモデルとどのように異なるのでしょうか。

ボーイングとエアバスで整備作業に違いは?

 JAL(日本航空)が2024年より、約20年ぶりに導入した新型長距離国際線主流機「エアバスA350-1000」。同モデルに初めて自動車における車検に相当し、詳細な点検がなされる「重整備」が、2025年3月から4月にかけて導入2号機「JA02WJ」に対し行われました。この新型機の「重整備」は、ほかのモデルとどのように異なるのでしょうか。

 A350-1000はJALの現在の国内線主力機「A350-900」の胴体延長タイプにあたります。胴体の長さもさることながら、客室も全面的に刷新しており、新型ファーストクラス・ビジネスクラスは同社史上初となる扉付き座席が採用されるなど、これまでのJAL国際線仕様機とは大きく異なる内装が採用されています。

 今回行われたのは重整備のなかの「C整備」と呼ばれるもので、整備担当者によると、A350-1000の場合はおおむね2年おきに行われるのが一般的なのだそうです。この際の整備作業は徹底的に行うといいます。

 今回のC整備では主翼周辺の「アクセスパネル」という部位を全て開け、内部のシステム系ケーブルやチューブの状態をチェックなど、多数の部品やシステムの状態の詳細な点検のほか、各舵面のルブリケーション(潤滑油をさすことで可動しやすくする作業)、エンジンの内視鏡点検などが実施されたとのことです。

 A350-1000を含めた「A350シリーズ」は、JALが初めて新造導入したエアバス製旅客機です。同社の整備士は、これまで同社がメインで使用してきたボーイング機と比較し、「整備作業に大きな違いはない」としながらも「コクピットの画面にマニュアルを表示できるので、負荷や時間のロスが少ない」と最新鋭機ならではの特徴を紹介します。

 また、A350シリーズはボーイングの「787」と同様に機体のメイン素材に「CFRP(炭素繊維複合材料)」という新たなものが採用されていることも特徴です。従来機はアルミ合金がメインでしたが、より強い素材であるCFRPを用いる機体の場合、客室の環境を地上に近い状況に近づける(与圧を上げる)ことができるほか、客室窓も従来機より大きくできます。

国内線主力機の姉妹機との違いは?

 そのようなCFRP素材機の整備作業の特徴については「例えば何かボーンと当たったときにアルミ製の機体はヘコむのに対し、コンポジット(CFRP)機はボーンと戻る感じでヘコみません。そのため、当たった場所が分からなくなるので、その時点で印をつけて電波で専用の機械で確認します」と話します。

 そのようなA350-1000ですが、国内線ですでに重整備を行っている姉妹機A350-900との違いは「エンジンの出力やシステム仕様の違いが若干存在するものの、整備方法自体は大きな違いはなく、基本的なプロセスは同様です」としています。

 一方でこれらの姉妹機が大きく異なるのは、モデルそのものよりも客室仕様です。同氏が「もう我々が見てもすごいなと思うぐらい」と話すほど同社の歴史上でもトップクラスに豪華な客室仕様を持ちます。反面、複雑な機構が採用されています。

 同氏はこれについて、「就航してから1年少々ですけれども、やっぱりあちこちがやっぱり動きがスムーズじゃなかったりする部分も多いので、この期間で、しっかりと新しい就航した手の新しい機体のように元に戻すために、しっかり手を入れています。我々もこの機体をいかに守りながら快適な客室を提供できのかと、我々の整備士魂をかけているところです」と話しています。

externallink関連リンク

【写真特集】ここまでやる? 「JAL最新国際線主力機の車検」様子がスゴイ!【画像】セクシー限界突破!? 「エアアジア」のCA制服がすごい旅客機「ドシンと着陸」 実は理由あり! どんな時でナゼなのか ANAパイロットに聞く
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)