ホンダの「クルマみたいなデカいバイク!」どんどんゴージャスになっていった!? 最大モデル「ゴールドウィング」かれこれ50年

ホンダにおける「最も大きなバイク」の地位に君臨するのが「ゴールドウィング」です。50の歴史のなかでどんどん大きく、ゴージャスになりました。熱烈なファンも多いホンダの「キング・オブ・モーターサイクル」を振り返ります。

デカい! 紳士のバイク「ゴールドウィング」

 休日の高速道路。ツーリングに出かけるであろう様々なバイカーを目にしますが、そのジャンルは様々です。ハーレー、カワサキ、モトクロス、旧車、旧車會、はたまた欧州メーカーの最新モデルなど……そんな様々なバイクが走るわけですが、ひときわ目立ち、そして独特のバイクが「ゴールドウィング」でしょう。

 とにかくデカいフルカウル仕様にして、外観は四輪に負けず劣らずの高級家具のような装い。中には音楽をガンガンかけていたりして、その音楽はどういうわけかシミジミとした八代亜紀だったりすることも。そして、次のサービスエリアでは、同様のモデルのバイクが集い、柔和で裕福そうなオジサンたちが楽しそうに語り合ったりしています。

 この独特の存在感を放つバイクこそが、ホンダの最大モデルにしてツアラーの最高峰、ゴールドウイングシリーズです。

 数あるバイクのカテゴリーの中でも独特の魅力を持つゴールドウイングですが、その物語は1960年代にまで遡ります。最初は、今よりもシンプルなネイキッドのスポーツモデルでした。

 1969年、ホンダがアメリカのバイク市場に投入したCB750 FOURは、4ストローク4気筒エンジンのスーパースポーツモデルで、アメリカはもちろん、ヨーロッパや日本でもヒットに至ります。日本では“ナナハンブーム”を巻き起こしたモデルですが、アメリカでの人気はそう長くは続かず、数年後には他社製スーパースポーツモデルに人気の座を譲る格好に。

 当時のホンダは、他社に負けないさらなるスーパースポーツの開発を進め、満を持して世に送り込んだのが1975年リリースの初代ゴールドウイング(GL1000)というリッターモデルでした。これが、アメリカやドイツのバイク市場を席巻します。

 初代ゴールドウイング(GL1000)は、ハイパフォーマンスマシンでしたが、広大なアメリカでは長距離ツーリングに使われるようになります。そのために、ユーザーが自分好みにカスタムする例が見られるようになり、ホンダの当初の思惑とは少し違うスタイルで人気が定着していきました。

ロングツアラー仕様に舵を切った2代目GL

 このニーズを前にしたホンダは、1980年リリースの2代目ゴールドウィング(GL1100)で、完全にロングツアラー仕様に舵を切りました。排気量を1100ccにアップさせ、最高出力よりもトルクを重視しました。

 装備面では、長時間のツーリングでもライダーの疲労を軽減させるようホイールベースを延長させ、厚めのシートなどを設定。さらに快適さを高めたインターステートというモデルもラインナップし、フェアリング(カウル)、サドルバッグ、トランクなどが標準装備となりました。

 また、1982年には液晶メーター、ラジオなどを搭載したアスペンケードというモデルもラインナップ。「ラグジュアリーツアラー」という、それまでにはなかったバイクのカテゴリーを打ち出しました。

3代目・4代目で形成された「あのスタイル」

 2代目ゴールドウイングで確立したラグジュアリーツアラーのスタイルを高め、より快適さを向上させたモデルが1984年リリースの3代目ゴールドウイング(GL1200)です。
排気量は1200ccとなり、ホイールベースをさらに延長。複数のタイヤサイズのモデルをラインナップし、より細やかなニーズに応えられるよう飛躍しました。

 結果的に今日のゴールドウイングのスタイルを確立させた3代目でしたが、1988年には再びモデルチェンジ。4代目ゴールドウイング(GL1500)をリリースします。

 排気量を1500ccに大幅アップさせ、バイクでは前代未聞の6気筒エンジンに。その完成度の高さはアメリカだけでなく、日本市場でも絶大な支持を集めることとなり、結果的にこの4代目が、冒頭で触れたような熱量の高い「GLファン」を生み出しました。

世界初・量産二輪車用エアバッグを搭載した5代目GL

 4代目ゴールドウイング(GL1500)はいくつかのマイナーチェンジ、派生モデルをリリースしながらも、ベースモデルの変更はなく、19年という長きにわたって生産され続けました。

 そして、2007年にようやくフルモデルチェンジ。5代目ゴールドウイング(GL1800)がリリースされます。

 排気量はさらに大幅アップの1800ccとなりましたが、特に大きな注目を集めたのが世界初となる「量産二輪車用エアバッグ」の搭載でした。

 日本におけるエアバッグの開発はホンダが切り開き、そして進化させてきたもの。この知見をクルマだけでなくバイクにも取り入れるべく、5代目に装備されたのです。パワー、実用性、ラグジュアリー性同様かそれ以上に、安全性能も高めているのがホンダらしいところで、さらに「GLファン」からの信頼感を高めました。

50周年を迎えたGLこそ「キング・オブ・モーターサイクル」

 5代目ゴールドウイング(GL1800)は2007年から10年間生産されましたが、2018年には現行モデルとなる6代目リリース。

 過去のモデルチェンジを振り返ると「もう2リッターになってしまうんじゃないか」と思われる向きもありつつも、1800ccのママ。それでいて5代目の機能性・安全性を高めつつ、ホンダ独自開発の二輪車用ダブルウィッシュボーンフロントサスペンションを採用し、「バイクを操る楽しさ」に改めて回帰させたモデルです。

 そのコンセプトは外観にも表れており、歴代のゴールドウイングの中でも空力を意識したような「バイク」のイメージを損なわない構成。これまでの「GLファン」以外のニーズにも応えたいという狙いを感じる1台となっています。

※ ※ ※

 2025年は、初代ゴールドウイングが登場してから50周年の節目です。ホンダのバイクには「名車」と呼ぶに相応しいモデルがいくつもあり、ユーザーごとの思い入れによって、その評価は異なるところでしょうが、その大きさや独特の存在感を鑑みれば「キング・オブ・モーターサイクル」の名に相応しいのはゴールドウイングではないかとも思います。

 開発当初のスーパースポーツからラグジュアリーツアラーへ……独特の変遷を辿ったそのストーリーも含めて、ゴールドウイングはやはり唯一無二の特別なバイクです。

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