
フィギュアのイベントになぜか展示してあったEVキックボード。なぜここにこの製品が展示してあったのでしょうか。話を聞くと、とある有名アニメの“生みの親”が関わっていました。
イベント会場で異彩を放っていた電動キックボード
千葉県千葉市の幕張メッセで2025年2月8日に開催された国内最大のフィギュア・ガレージキットの祭典「ワンダーフェスティバル2025【冬】」の会場で、なぜかAVIOT電動というメーカーが「電動キックボード」を展示していました。どういった理由からなのでしょうか。
AVIOTの担当者に話を聞いてみると、広義な意味での「キャラモノ」として今回展示を行ったようです。
というのも、同メーカーの電動キックボード「KB-S350」は、名作ロボットアニメ『マクロス』シリーズ、ならびに『アクエリオン』シリーズのメカデザイナーである河森正治さんがデザインを担当したものといいます。
AVIOTは元々、スマートフォンなどに使うワイヤレスイヤホンなど、オーディオ関連の製品を製造するメーカーです。そんな同社が電動キックボードを制作したのは、新たな事業を行う際、日本メーカーの参入が少なかった分野だったためとのことです。
「デザインを依頼する際、イヤホンのコラボ企画などの関係で、アニメーション業界と関係が深かったため、“メカ”と言えば河森さんなので、依頼しようとなりました」と担当者は語ります。
ただ、ここで生じるのが、このキックボードのどこが「キャラモノ」なのか――という疑問です。
「変形する」ということに特にこだわる
担当者はキックボードのデザインについて「ハンドルやフロントライトのデザインは、特にこだわりました。いわゆるキックボードではない楽しみを感じてもらえるような、繊細なデザインを意識しました」と話します。
キックボードの本体重量は18.85kgで、折りたためば後輪をキャスターのような要領で運べる仕組みとなっています。速度選択に関しては歩道走行モードの6km/hと車道走行モード20km/hが選べるそうで、オートクルーズ機能も搭載されているとのことです。
そして、大きなキーワードとなっているのが、河森さんがメカデザインを担当している「マクロスシリーズ」でもお馴染みの“3段変形”の要素です。
「走行モード、駐車モード、折りたたみモードの3段階の変形を可能にする『3Wayヴァリアブルスタンド』という独自設計の機能を付けています」
またこの変形機構には、盗難防止という実用的な効果も期待できます。当初は付属パーツや別売りのパーツを付けて防犯能力を高めようという考えだったそうですが、河森さんが「変形させればいいのでは」と言ったことをきっかけに、3段変形させるという方針になったそうです。マクロスのメカデザイナーが考えた3段変形機構――広義な意味での「キャラモノ」といえます。
なお、会場の別ステージでは、河森さんが登壇しての同製品に関係したトークショーもあり「身近なSFを感じられる」とアピール。「都会の中の渋滞ってエネルギーロスが多いじゃないですか。都市ではこうした最小限のモビリティで移動することにより、渋滞や色んな問題も解決できてクリーンな街になるんじゃないでしょうか」と電動キックボードの利点について話していました。
なお、このキックボードは特定小型原動機付自転車として販売する予定で、「GREEN FUNDING」でクラウドファンディングを行った際は、開始から2日で目標金額達成、5日でクラウドファンディングプラットフォームGREEN FUNDING電動キックボードカテゴリにおける史上最高金額を突破したとのことです。