「行けそうな気がします」片山晋呉が福岡でつかんだシニア勝利の方程式は…

<すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント 事前情報◇15日◇イーストウッドカントリークラブ(栃木県)◇6867ヤード・パー72>
 
前週のレギュラーツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」でトータル5アンダー・6位タイに入って賞金663万円を加算し、賞金ランキング66位(1158万2699円)に浮上した片山晋呉。これで今年のレギュラーツアーには区切りをつけ、今週、来週はシニアツアーに出場する予定となっている。
レギュラーツアーの来季シード権は賞金ランキング65位までだが、同17位のジェイブ・クルーガー(南アフリカ)と、同30位のコー・グンテク(韓国)は出場義務試合数不足で除外されるため、現時点では実質67位までが“シード圏内”。つまり、片山が66位のままシーズンを終えれば、現役最長の26季連続賞金シードを獲得することになる。片山の上にいるのは“32季連続”賞金シードの記録を持つ尾崎将司だけだ。
 
ただ、レギュラーツアーのシード争いは今週の「ダンロップフェニックス」、来週の「カシオワールドオープン」の2試合を残しているため、片山が残りの試合に出場しなければ、下位の選手に抜かれて、賞金シードを逃す可能性が高い。三井住友VISA太平洋マスターズでは“あと1打”良ければ3位タイ。賞金シードの安全圏に入れた可能性もある。それだけに大会終了後はカシオワールドオープン出場もほのめかしていた。
 
ただし、片山はツアー通算25勝以上(31勝)の『永久シード』の資格を持つため、賞金シードを失ったとしても、来年以降もレギュラーツアーには出場できる。25季連続で記録が途絶えたとしても、来年の出場権に大きな影響はない。
 
本人も「数字が“26”になっただけで、『来年の出場権が何か変わる?』って言われたら、何も変わらないんだよ。(日本オープンなどにも出場できる)30位以内だったらちょっと違うけど。もしジャンボさんが“28”とかだったら、向こう(レギュラー)に行っていた。28なら頑張ればシード獲れる感じではやれているから」と話す。ジャンボ尾崎の32季連続を抜くのは厳しいと判断して、当初の予定通り、今季残りはシニアツアーに専念する考えだ。
 
「これで賞金シードが切れたとしても、また獲った方がカッコよくない? 今年はほんのちょっとの差だし、50代で獲れたら僕の中で(シード記録が)続いていると思えばいい」と、まだ獲得の可能性を残すレギュラーの賞金シードについては、もう割り切っている。
 
シニアツアーの残り2試合で目指しているのは賞金ランキング4位以内。シーズンを終えて4位以内に入れば、来年の海外シニアメジャー「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の出場権が得られるのだ。現在、片山のシニアツアーでの賞金ランキングは10位。4位につけるI・J・ジャン(韓国)とは約900万円差で、十分に逆転可能な位置にいる。
 
今年6月の「スターツシニア」でシニアデビューを果たした片山だが、ここまで7試合に出場してまだ優勝はない。レギュラーツアーでは通算31勝、5度の賞金王を獲得しているだけに、ここまでの結果は意外にも映る。「僕はけっこう慣れないとダメなタイプ。いきなりシニアに来て『勝てますよね?』と言われても、そんなことはないよなと思っていた」と本人はそこまで焦ってはいない。しかし、残り2試合で賞金ランキング4位以内に入るためには、優勝するくらいの成績が必要となる。
 
ここまでシニアで戦う難しさを感じていた片山だが、「こういう感じでやればいいんだ」と、同い年の宮本勝昌にプレーオフで敗れた10月下旬の「福岡シニア」で、つかんだモノがあった。「シニアっぽくやっていたと言ったらおかしいけど、(前週の)VISAの3日目なんて、毎回一緒に回った子に50ヤードくらい置いていかれるわけ。平らなホールなら転がせるからいいけど、打ち上げのホールとかは70ヤードくらい違う」と、同組の20歳、長野泰雅に飛距離で圧倒的な差を見せられた。
 
そういう中で、「僕はシニアだと思ってやっていたら、意外に上手くいった。『もうちょい(飛ばしたい)』って思わなかったからね」と飛距離では張り合わずに、自分のできるゴルフを貫いた。「コンディションが難しいから、向こうはそこからバーディが獲れない。僕はパーを獲れているから上がってみたら一緒。こういうことだなってちょっと分かった」。その結果、レギュラーの今季最高成績につながった。
 
「こっち(シニア)は『行かなきゃ、行かなきゃ』と思っちゃう。普通に行こうと思ったら、いけそうな気がします」。福岡シニアでつかんだマインドは、レギュラーでも通用した。シニアでの勝利の方程式は出来上がりつつある。(文・下村耕平)

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