「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」でツアー通算2勝目を飾った岩井明愛。4月の初優勝から5か月、この間、プレーオフ負け3度を含む2位5回、3位2回、4位1回と上位での戦いが続いたものの勝利できず、2勝目までが「すごく長いように感じました」と、ウィニングパットを沈めると涙がこぼれた。そんな岩井について、「今大会でも初日に63をマークするなど、爆発力のある選手。2勝目を挙げ気持ちが楽になったことで、シーズン残り試合での活躍が楽しみ」と話すプロコーチの南秀樹に、彼女のスイングからわれわれも真似したいポイントを解説してもらった。
飛距離が魅力的な岩井明愛だが、現在パーオン率も75.23%で堂々の1位。年間トップ10回数14回(1位)の安定したプレーにつながっている。そのスイングについて「とても柔らかいスイングです。一連の動きの中で角がなく、すべてがスムーズに動いています。力任せではなく、体のバネを使って飛ばすタイプ。飛距離にフォーカスされがちですが、ヘッドの入れ方も上手く、直ドラを苦にせず、アイアンではスピンコントロールができるので、高いパーオン率につながっています」という。
そんな彼女のスイングからはダウンブローに打つ、アイアンの基本を学びたい。「ダウンブローというと、ヘッドを上から、鋭角に入れようとする人がいますが、それは大きな間違い。ダウンブローはヘッドの最下点がボールの先にあればいい話。ダウンスイングのクラブの動きよりも、インパクトからフォローにかけての体の動きが大切になるんです」。
まずはボールをクリーンに打つ反復練習をしたい。「ヘッドを浮かせて構えて、ボールをクリーンにとらえる感覚を身につけましょう。マットを叩く音より、ボールに当たる音が先にするように、最初は小さなスイングからはじめ、徐々にスイングを大きくしていきます」。
クリーンに打つ感覚がつかめたら、ボールの先のマットをクラブで擦ることができればダウンブローの完成だ。右から左へと体重移動し、左体重で打つことがマストだが、そこには気をつけたいポイントがある。
「軸を左に倒して体重移動すると、フォローが出せずボールコントロールができません。簡単にいえば、体が突っ込んでいるわけです。正しくは、左脚で体重を受け止め、左足体重になること。左ヒザの内側で踏ん張れば、その場で上体がスムーズに回転しやすくなります。左ヒザは多少伸びてもOK、手首を開放しヘッドを前に出していきましょう」。
スムーズに体を回して最下点をボールの先に持っていく岩井のダウンブロー。精度が格段に違うのはもちろん、インパクト効率も上がるので、飛距離アップも期待できる。
南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属