
<日本プロゴルフ選手権 事前情報◇26日◇恵庭カントリー倶楽部(北海道)◇7441ヤード・パー72>
国内メジャー2戦目の「日本プロゴルフ選手権」は、2009年大会以来2度目の開催となる恵庭カントリー倶楽部で行われる。ティイングエリアを新設するなど大規模なコース改造で距離を伸ばし、ラフも80~100ミリに伸ばすなど難コースに仕上げた。中でも注目ホールは、パー3としてはツアー史上最長(詳細なデータが残る1992年以降)となる270ヤードの8番だ。
ディフェンディングチャンピオンの堀川未来夢は、「以前恵庭を回らせてもらったときは、伸ばし合いのコースという印象がありましたが、全然印象が違ってかなり難しいですね。ラフも深いですし、総距離以上に長くも感じます」と話す。ティイングエリアが新設されたことでせり出した枝が空中のハザードとなり、ドローボールあるいはフェードボールと球筋の打ち分けが要求されて戦略性は高まった。技術だけでなく状況判断などの総合力が必要で「毎日2アンダーで回れたら最高かな」と分析する。
警戒するホールの1つが8番。前回は17番パー3として203ヤードの設定だったが、さらに奥にティイングエリアを作り270ヤード(グリーンエッジまでおよそ240ヤード)のモンスターホールとなった。距離が長いだけでなく、グリーン左サイドに池が広がり、右サイドにはガードバンカーが2つある。さらに右にはOBも待ち受ける。「フォローの風が吹けば、3番ウッドか5番ウッドでちょうどの距離。アゲンストだと3番ウッドでは届かない」とドライバーを使用することも辞さない。
石川遼は8番ホールの印象について、「左サイドの池は170ヤードではあまり利いてきませんが、270ヤードあると利いてくる。250ヤードぐらいのショットの精度が求められる」と、ロングゲームの差が出やすいという。「与えられた条件の中で自分のベストを尽くすしかない。アゲンストならドライバーを使えばいいだけだし、パー3といわれるとなんとなく3回で上がらないといけないと思いますけど、パーは正直関係ないと思えば、今日は“4”で仕方ないというコンディションはありえると思うので、考え方ですね」と、モンスターホールに対しては状況に応じてボギーOKという考えも持っている。
7年連続フェアウェイキープ率1位で“日本一曲がらない”稲森佑貴でもグリーンを狙うのは躊躇する。「右のバンカーOKにしてそこから頑張ります」と左サイドの池を避けて狙いを右にずらす考えを持つ。
また54歳のベテラン・手嶋多一は、「刻むことも考えていますよ」と190ヤード地点の池の手前にレイアップをして、残り60ヤードほどの2打目以降で勝負するプランも。ドローヒッターの手嶋は、やはり左の池が気になる。池に入れるとダブルボギーやトリプルボギーの可能性も出てくるため、最悪の状況を避けてスコアメイクに徹する考えだ。
大会を主催する日本プロゴルフ協会の吉村金八会長は「選手のパフォーマンスを引き出す最高のコンディションになっている」とプロ日本一決定戦にふさわしい舞台を整えた。ツアー史上最長の270ヤードのパー3を国内のトッププロはどう攻めるのか、見応え十分である。(文・小高拓)
【ツアー最長パー3 歴代トップ3】※詳細な記録の残る1992年以降
1位:270ヤード(2023年「日本プロゴルフ選手権」恵庭CC 8番)
2位:267ヤード(2012年「とおとうみ浜松オープン」グランディ浜名湖GC 16番)
3位:263ヤード(2010、11年「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Lake Wood」TOSHIN Lake Wood GC 14番)