第235話 2050年カーボンニュートラルの鍵「洋上風力発電」の未来

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、ホテルのラウンジでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。


T:今回が2020年最後の投資談義となりました。神様、来年はどんな一年になるでしょうか?

神様:「来年はこんな年になる」というお話は、もうやめましょう。今年を見てお分かりのように、来年のことは誰にも見えません。しかし、投資を通じて世界や日本の市場の流れを見たときに、何か感じることはありませんか?そこには、大きな川の流れのように、急な変化やゆったりとした変化が見られるのがわかります。

T:私は、目の前の株価に一喜一憂せず、長期的な視点を持ち、これから社会に役に立つ、未来をつくる会社を応援するつもりで投資活動を行ってきました。今年はとても難しい一年でしたが、様々な変化が未来につながっていくのは、何となくわかります。

神様:さて、前回は社会のデジタル化を背景とした半導体市場を見ました(第234話 2020年はデジタル化大躍進 半導体市場の成長は続くか?)。今回はもう一つの未来の話、再生可能エネルギーについてお話しましょう。

T:以前もお話がありましたが(第228話「2050年までに脱炭素社会」 日本に水素社会到来へ)、菅政権が「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」、いわゆるカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと宣言しましたね。

神様:先日は、石炭火力発電への依存からの脱却を目指す中で、水素エネルギーが注目されているという話をしました。今回は、洋上風力発電について話します。

T:最近報道でもよく耳にしますが、洋上風力発電1つの計画で原子力発電所1基分に相当する、大規模な再生可能エネルギー発電所として期待が高まっているそうですね。

神様:政府は成長戦略会議の中で「2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略」を策定しました。その実行計画の方向性として、水素、自動車・蓄電池、カーボンリサイクル、半導体・情報通信(デジタル化)、そして洋上風力を挙げています。洋上風力発電は、経済波及効果が大きい再生エネルギー主力電源化の鍵として注目されているのです。

T:しかし採算性などで課題も見つかっています。数日前にも福島県沖の洋上風力発電が撤退されるという報道がありましたし。

神様:今は市場規模が非常に小さく、まだまだ未熟であると言えます。一方で秋田県や千葉県沖の洋上風力発電事業者の公募が始まっているように、事業数は増えていきます。日本の洋上風力発電の市場規模は、2030年度には9200億円に成長すると予測されています。グリーン成長戦略実行計画では、洋上風力の発電容量を2040年に最大4500万キロワットとする目標を検討していますが、これは原子力発電の45基分に相当します。

T:日本の一次エネルギー供給は化石燃料が8割以上を占め、海外から輸入される石油・石炭・天然ガスに大きく依存しています。化石燃料からの脱却だけでなく、国際情勢に影響されない安定的エネルギー源の確保という意味でも期待は大きいですね。

神様:その通りです。さらに、経済波及効果が大きいこともポイントです。事業が様々な経済的恩恵を生み出すためにも、すでに十分に実績のある国や企業に学び、国内企業の競争力・開発力を成長させていくことが重要です。日本国内にもすでに事業の実績を積み上げている企業がありますから、今後は大きく躍進する機会となるでしょう。

T:10年後、20年後に新しいエネルギー事業の柱が立ち上がるわけですね。そして30年後には脱炭素社会を実現する。大きなビジョンの下、関連企業の成長が期待されますね。来年も、こうした大きな流れをしっかりと見据えていきたいと思います。神様、来年もよろしくお願いします。

(この項終わり。次回1/13掲載予定)

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