『国内の移動も1日がかり』、『食事は自室に1人』 試合中も“隔離”の昨年覇者・今平周吾の苦労

<ダンロップフェニックス 初日◇19日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7027ヤード・パー71>

今平周吾がディフェンディングチャンピオンとして迎えた「ダンロップフェニックス」は、いまだかつてない厳戒態勢のなかで開幕した。練習場では他の選手と接触できないように左端に今平専用打席が作られ、ラウンド中は警備員と消毒係が帯同していた。トイレは他の選手と一緒に利用できず1人で入るルールで、クラブハウスにも入場できない。

前週の「マスターズ」に出場したため、これまでなら帰国後14日間の自主隔離が必要で、今大会には出場できないはずだった。それが日本ゴルフ界初の『アスリートトラック』の適用で出場可能に。これは『アスリート用東京オリパラ準備トラック』の略で、東京五輪・パラリンピックに関わる選手等について、必要な防疫上の措置を講じた上で入国後14日間の自主隔離期間の大会参加を可能にするもの。今平は他の選手と違い、行動が大きく制限されるなかでの大会となっている。

開幕を迎えるまでの移動も過酷だった。17日(火)の午後3時30分に成田空港に下りた今平は、空港でPCR検査を実施。陰性確認後に自分の車で自宅まで移動した。空路が利用できないため、翌18日(水)の11時29分に新幹線で新横浜駅を出発し、午後4時9分に博多駅に到着。博多からは約300kmの道のりを、貸切ハイヤーを使って宮崎のフェニックスシーガイアリゾート内のコテージまで移動してきた。着いたのは午後8時30分。そして翌19日(木)、ぶっつけ本番で朝9時35分にスタートした。

時差ボケや移動の疲れがあり「前半はなかなか体がいうことをきかなかった」。インからスタートした今平は出だしの10番パー4でいきなりボギー。12番パー4でもボギーを打った。「チーピンを打ったことがない」と言っていた男が、ティショットでは左に曲がるミスを頻発。前半9ホールはバーディが獲れないまま2オーバーで折り返す。

「後半は体が回るようになった。だんだん良くなってきた」。今平は1番、2番を連続バーディとすると、7番パー5でもバーディ。最終9番ホールをボギーとしたが、イーブンパーまでスコアを戻し、44位タイで初日を終えることができた。まずまずのプレーを見せた今平は「オーバーパーを打たなくて良かった」とコメント。「相性のいいコース」だけに、トップと6打差はまだまだこれからの位置だ。

プレー以外の面ではどうだったのか?ラウンドでは消毒係が付いて、キャディの柏木一了(かずのり)氏の手指を毎ホール消毒、他の選手と2mの間隔を空けてプレーしなければならなかった。食べ物や飲み物などで今平が出したゴミは、同じ消毒係がビニール袋に入れて、一般のゴミ箱ではなく、しっかり分けて処理。ホールアウト後は、クラブを外で消毒。今平と柏木氏以外が触れないように、キャディバッグはキー付きロッカーで翌日まで保管される。

「いつもとはルーティンが違うので違和感はありました。2m離れることは意識しながら回っていました。皆さんが良い環境を作ってくれたので気持ちよく回れています」と今平。キャディバッグを担いだ柏木氏は、グリップを触らずにクラブの受け渡しを行い、ボールは直接手渡しではなく、投げたボールをタオルでキャッチしなければならなかった。「大変ですけどオリンピックや今後のことを考えると、前向きにやらないといけない」と柏木氏はいう。毎ホールの消毒には「もう指紋がないです」と笑う。

予選ラウンドで今平と同組になった香妻陣一朗は「2m以内に近づいてはダメと言われて、気を付けながらやっていました。カップが近くなると、どうしても近くなってしまうので、やりにくさはあった」とプレー後に語った。その香妻も今平同様に後半調子を上げ、最終2ホールの連続バーディでイーブンまでスコアを戻した。

6番ティイングエリアではこんなシーンも。帯同している専属係員が晩ご飯のメニューを確認していたのだ。今平は誰かと外で食事に行くことができないので、宿泊している部屋で1人、ルームサービスを食べる。宿泊するコテージに戻ってからの注文では間に合わないので、プレー中に今平の希望を聞くこととなった。

多くの人の協力があって実現したディフェンディングチャンピオンの出場。無観客大会でギャラリーはいないが、今平を応援する人はいつもよりきっと多いだろう。(文・下村耕平)

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