明暗分かれた非正規格差判決=個別判断も、にじむ経営配慮―最高裁

 最高裁で13日と15日、正社員と非正規社員の待遇格差をめぐる5件の訴訟の判決があった。退職金やボーナスを争った2件は、いずれも支給は認められず原告が敗訴。一方、扶養手当や有給休暇を求めた3件は、原告の全面勝訴になり、明暗が分かれた。
 「希望も働く意欲も持てない。不公平感が募るばかり」。13日午後、最高裁で判決言い渡し後に、原告の女性は声を絞り出した。
 女性は東京メトロ子会社の駅売店で契約社員として働き、退職金が支給されないのは労働契約法20条が禁止する「不合理な格差だ」と訴えていた。第3小法廷は、正社員は地域マネジャーも担うなど業務内容に違いがあることを重視し、請求を退けた。
 ボーナス不支給が争われ、同日判決が言い渡された大阪医科薬科大の元アルバイトが起こした訴訟でも、同小法廷は業務内容の違いを指摘し、支給を認めなかった。
 一方、原告が勝訴したのは15日の3件の訴訟。日本郵便の契約社員らが扶養手当や年末年始勤務手当の支給、夏季・冬季休暇の付与などを求め、第1小法廷はいずれも「正社員と職務内容が違うことを考慮しても不合理」として手当支給や休暇付与を認めた。
 同小法廷は、日本郵便での扶養手当の趣旨を「正社員の生活設計を容易にさせ、継続的な雇用を確保する目的」とし、原告らにも「扶養家族があり、相応に継続的な勤務が見込まれれば趣旨は妥当」と指摘した。
 年末年始勤務手当は「多くの労働者が休日の期間、最繁忙期で郵便業務に従事する対価」、夏季・冬季休暇は「心身回復を図る目的」と述べ、契約社員にも当てはまるとした。
 5件の判決は個別事情を考慮した「事例判断」だが、結果が分かれた要因には手当の趣旨が明確だった一方、退職金やボーナスは支給目的が複合的なこともあると言えそうだ。
 また、退職金やボーナスは金額が大きく、企業経営に対し一定程度配慮した可能性もある。退職金支給が争われた訴訟の判決では、林景一裁判長が補足意見で「退職金制度の持続的運用には、原資を長期間積み立てるなどして用意する必要がある。使用者の裁量判断を尊重する余地は大きい」とあえて言及した。 
〔写真説明〕メトロコマース契約社員の非正規格差をめぐる訴訟の判決を受け「不当判決」の垂れ幕を掲げる原告ら=13日、東京都千代田区
〔写真説明〕日本郵便非正規格差をめぐる訴訟で「勝訴」の垂れ幕を掲げる原告団=15日、東京都千代田区

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