柏原明日架の最新クラブセッティング　操作性を求めて13本のシャフトを『Tour AD』に全取っ替え

昨年9月のツアー初優勝から翌10月に早くも2勝目を挙げ、賞金ランキングも自己最高の11位（2018年は44位）と躍進した柏原明日架。今年さらなる活躍が期待される24歳の最新クラブセッティングを見てみよう。

柏原のセッティングの特徴はフェアウェイウッドの多さにある。ローグの4W、7W、9W、11Wと4本も入っている。多くの選手が9番、11番の代わりにユーティリティを入れているが、なぜ柏原はユーティリティを入れないのか。キャロウェイゴルフのツアー担当、中島淳氏は「止めるためですよ」という。さらに詳しく聞いてみた。

「実は元々ユーティリティも使っていました。アイアンに比べれば止まりますが、柏原プロのイメージ通りに止まっているかというと違っていたんです。特にここ数年、日本女子オープンなどメジャーの大きな大会ではグリーンが硬く、止まりにくくなってきています。彼女のイメージ通りに止めるためには、より高くボールが上がるフェアウェイウッドのほうが良かったという訳です」

最近では松山英樹やローリー・マキロイ（北アイルランド）が使い始めるなど、米国男子ツアーでもユーティリティのシェアは年々拡大している。だが、柏原はボールがより高く上がって止まるフェアウェイウッドのメリットを選択。ここに彼女の巧みな戦略を感じる。

ドライバーはキャロウェイ契約選手の多くが使う『マーベリック』や『エピックフラッシュ』ではなく、『ローグスター』を使っている。「もちろんオフにマーベリックもテストしました。飛距離も出ていましたし、データ的にも良かった。でも、自分のイメージしている構えやすさや打感を重視して、最終的にはローグスターに落ち着きました。ヘッドに目新しさはありませんが、シャフトがすべて変わったんですよ」と中島氏は嬉しそうに話す。

■ドライバーからウェッジまでシャフトを一新！

クラブもシャフトもあまり替えることがないという柏原だが、昨年の12月から、ドライバーからウェッジまでシャフトを一新した。ウッドだけ、アイアンだけといったケースはあるが、すべて替えたという話はあまり聞いたことがない。きっかけは何だったのか？

「はじめはドライバーの飛距離や操作性をもう少し良くしたいという柏原プロから要望からです。これまでは使用していた三菱ケミカルのシャフトの中でテストをしていましたが、今回初めてフジクラやグラファイトデザイン、アッタスといった他のメーカーも含めてテストをしました。その中で、グラファイトデザインの『TP』が振りやすく距離も出ていたので、使うことになったのです。ドライバーと同様にフェアウェイウッド、アイアンとテストをしていったら、すべてグラファイトデザインに変わってしまいました」（中島氏）

こうしてシャフトの全取っ替えが完了。「本当に衝撃的でした。（シャフトを抜き差しする機能がないので）何本も同じヘッドでいろいろなシャフトを用意するのは大変でしたが、楽しかったですね。昨年2勝して、3勝目に向けて本人的に何か感じることがあるのだろうと思っています」と中島氏は振り返る。

2014年にプロテストに受かってから、初優勝まで5年かかった柏原。だからこそ、昨年の成績に満足することなく、思い切って新たな挑戦をすることができるのだろう。女子ツアーの開幕が決まり、話題は渋野日向子を擁する“黄金世代”や、安田祐香ら“プラチナ世代”に集まっているが、ふたを開けてみたら柏原の時代になっているかもしれない。

【柏原明日架のクラブセッティングと番手別飛距離】
1W：ROGUE STAR　10.5度　Tour AD TP 5（S） 245y
4W：ROGUE　17度　Tour AD TP 5（S） 225y
7W：ROGUE　21度　Tour AD TP 6（S） 200y
9W：ROGUE　23度　Tour AD TP 7（S） 185y
11W：ROGUE　25度　Tour AD TP 7（S） 175y
6I：APEX　 Tour AD AD-85（S）　165y
7I：APEX　 Tour AD AD-85（S）　155y
8I：APEX　 Tour AD AD-85（S）　145y
9I：APEX　 Tour AD AD-85（S）　135y
PW：APEX　 Tour AD AD-85（S）　125y
48度：MACK DADDY FORGED　 Tour AD AD-85（S）　115y
52度：MACK DADDY FORGED　 Tour AD AD-85（S）　105y
56度：MACK DADDY FORGED　 Tour AD AD-85（S）　90y
PT：TRIPLE TRACK 2 BALL