【常盤平団地「はれの日サロン」から】まちに「保健室」を作りたい~まちなか保健室コミュニティナース・国府田正枝さん(後編)

コミュニティナース国府田正枝さん
前編、後編の2回に渡って、千葉県松戸市常盤平にある常盤平団地でコミュニティナースとして活動する国府田正枝さんにお話を伺います(前編はこちら)。
高齢化率(65歳以上の人口の割合)が50%を超えている常盤平団地地区では、一時期「孤独死」の発見が相次ぎ、それ以来、自治会などによる孤独死ゼロ作戦が全国的に有名になっています。後編では、国府田さんに、孤独死を防ぐために大切なこと、今後のシニア世代の生き方などについて聞きました。

「孤独死」を防ぐためには「会話」と「生きがい」


はれの日サロンで利用者と雑談をする国府田さん
写真:「男性の利用者が多いのは驚きました」(国府田さん)

――常盤平団地では「孤独死」ゼロ作戦が有名ですが、どうしたら「孤独死」を防げるのでしょうか?

高齢者単身世帯であること、慢性的な疾患を持っていること、コミュニティ形成があまりできていない状況であること、これらが重なると孤独死に陥りやすい状況であると考えています。
孤独死をしてしまう人の多くは、人とのコミュニケーションが苦手な傾向が見られます。近隣住民との関わりがなかったり不足している状況では、もしその人に異変が起きても気づく人が少なくなってしまいます。近くに頼れる人がいるのは心強くて安心できるので、日頃から地域の方と関係性を持つようにしたいですね。
定年後に何をやったらいいかわからない人は多いです。一生懸命働いてきて、ぽつっとやることがなくなって、空虚感、すっぽり穴が開いてしまう人もいますが、人生100年時代が到来した今、これまで仕事一本で頑張ってきた時間を今度は自分のため、家族のために使ってもらいたいです。1人の時間もいいですが、趣味や生きがいを探して自分以外の誰かと交流することで、今までとは違った何か、新しいものが発見できるのではと思います。
適度なストレス環境は脳を刺激します。人との会話は認知機能の維持にもつながりいいことだらけです。ぜひ人と関わることはなくしてもらいたくないですね。


退職は人生のリタイアじゃない 新しい人生設計を立ててほしい


はれの日サロンのキッズスペース
写真:「はれの日サロン」内には小さなキッズスペースもあり、高齢者だけでなく多世代の交流を図っている

――仕事を引退した後に趣味がなく、これから何をしたらいいかわからない人は、どうすればいいでしょうか?

実は私も常日頃そんな状態なんですよ。仕事とか、何か楽しみがないと張り合いがないというか、辛いこととか大変なこととかも、あ、これがあるから頑張ろうという気になれる。ご飯、料理とか何でもいいんですけど、興味があること、新しいことにチャレンジしてみる。エンディングノートを作るのでもいいですよね。エンディングノートは自分と周りの人を幸せにするための「終活」への第一歩とも言われています。これからの人生をより良く暮らすための活動でもあり、文字にして自分のやりたいことなどを書いてみることが実現の第一歩だと思います。エンディングノートを書いたことで、これからの生きがいも見つけることができたという方もいるんですよ。退職してから、これからまた自分のために楽しい時間を過ごせるという気持ちの切り替えをして、ぜひまた自分の違う人生設計を立ててほしいです。
「リタイア」って負のイメージですよね。でも、仕事はリタイアでも人生はリタイアじゃないですから。人生リタイアしちゃったらダメですよ。そのために、今から健康に気を遣ってもらって、自分の楽しい時間を使うための土台作りだと思ってやってもらえたらいいなと思います。今まで頑張ってきた人に、人生を楽しんでもらえたらいいですね。

――国府田さんにとって「年をとる」とはどういうことだと思いますか?

老いる、年をとることは、生きている以上は避けられないことです。でも年をとる過程でどのように年を重ねていくかによって、その方の人生の豊かさが左右されてくるのではと思います。
GACKTの言葉(引用:【歳を重ねる】と【歳を取る】 | GACKTオフィシャルブログ)に「年をとるというのは、年を増すごとに己の人生から責任を一つずつ取り除いていく生き方、年を重ねるというのは、年を増すごとに己の人生に一つひとつ責任を重ねていく生き方」というのがあり、なるほどと思いました。責任が増してくると何をするにも自分に直接返ってくるものも大きいかもしれませんが、成功したときの喜びも大きいものになりますよね。私はただ年をとる、老いるだけではなく、素敵に年を重ねていきたいので、皆さんにもそういう気持ちを伝染させていけたらいいなと思います。


早期発見が大切 身体と向き合う・セルフケアを大切に


――これからシニア世代を迎える人たちは、病気もなく元気に現役で働く人たちも多いですが、どんなことに気をつければよいでしょうか?

普段から自分の身体の状態に向き合い、異変に気づいたらそのままにせずに誰かに相談する、早期に何か対策をとることで病気にならなかったり、大事に至らなくてすむかもしれません。まずはそのままにしないということ。そのためにはセルフケアといって、規則正しい生活、睡眠などが大切です。あとは生きがい、楽しみ、ストレスとの向き合い方も大事ですね。


「おせっかいをやいてくれる近所のおばちゃん」になりたい


はれの日サロン

――今後、「まちなか保健室」をどんな保健室にしていきたいですか?

健康相談を気軽にできるのが保健室の一つの特徴ですが、ご自身やご家族の健康や介護などについて、病院にいくほどでもないけれど、心配とか悩みのある方が気軽に来ていただければいいなと思います。その他、ふらっと立ち寄って元気な顔をみせていただき、挨拶をするだけでもうれしいですね。年齢も関係なく、小さなお子さん連れのママさんとか、仕事帰りの方とかでもいいと思います。
私の中では、学校の保健室がイメージとして一番近いものがあります。学校の保健室の役割を持つ場所をまちの中に作り、ちょっとした不安や悩みなどがあった時にちょっと立ち寄って、ほっと安心できる場所だったり、明日につながる活力がもらえたり、そこに行けば何かを得られたり、元気がもらえるような存在の保健室にしたい。それと共に健康への情報提供や楽しみづくりをしていきたいと思っていて、目標はちょっと嬉しいおせっかいをやいてくれる近所のおばちゃん的な存在になって、地域に必要とされる保健室になれたらいいですね。

人生100年時代を迎え、元気に働き続けるシニア世代が増えていく中で、国府田さんは、予防医学の観点からも、まちに出て、元気なうちからコミュニケーションを取りたかったと話します。これからの日本では、まちの保健室が増えていくのかもしれません。(TheNews編集部)
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