
TheNews編集部では、2019年10月に常盤平団地地区にオープンしたコミュニティスペース「はれの日サロン」を取材しました。また、サロンの中で「まちなか保健室」を開いているコミュニティナース、国府田正枝(こうだまさえ)さんにもお話を伺いました。
男性の参加が目立つコミュニティスペース「はれの日サロン」
「はれの日サロン」は、新京成線・常盤平駅前のショッピングモールの中にあります。コミュニティスペースのほか、地域住民の困りごとを相談する窓口として「くらしの窓口」、地域に住む人や専門家などが講師となり、生活に役立つ情報などを学ぶ教室スペース「はれの日学園」があります。取材当日は男性の高齢者を中心に、テーブルを囲んで雑談をする姿が見られました。
この日の午前中は、コミュニティナースの国府田正枝さんによる「冬のかゆみ対策」セミナーが行われていました。まだ参加者は少ないものの、こちらも男性の参加が目立ちます。セミナーでは、冬特有のかゆみのケア、かゆみ防止方法の講義の後、アロマを使った保湿クリーム作りも行われました。「ただ話を聞いてもらうだけでなく、五感を刺激することにもなるので、ワークショップを入れるなどの工夫も大切にしています」と講師の国府田さんは話します。
国府田さんは、今年の12月より「まちなか保健室」を開催し、シニア世代を中心とした健康相談の活動をスタートしました。もともとは千葉県内の地域包括支援センターで看護師として働いていました。国府田さんに、コミュニティナースという活動について、また、なぜ保健室を開こうと思ったのかなどをお聞きしました。
「いつもと違うところを見つける」きっかけに
――「まちなか保健室」にはどういう方が来ていますか?また、どんなことをするのでしょうか?
現在、午前中にセミナーをし、午後からは保健室を開いています。
12月3日の第1回目のセミナーでは、40代から70代の方が4名参加してくださり、ヒートショックについてお話しました。この時期は特にお風呂などで寒暖差があり、血圧の変動によって突然死が起こることがあります。それを防ぐための日常生活での工夫をお話しました。
また保健室では、週3回透析に通っている方とお話をし、今後ここで保健室を開いていくので、ご挨拶や自己紹介をしたところです。はじめから健康相談や介護相談など目的を持っていてもいいですが、私は普段からたわいもない話をしながら関係性を作り、普段の関わりの中で、いつもより顔色が悪かったり、いつもと違ったところを見つけるきっかけになれればいいなと思っています。
――コミュニティナースとは、どのような活動ですか?
看護の専門性を活かしながら、制度にとらわれることなくまちに出て自由で多様なケアを実践する医療人材です。元気なうちから住民の方と知り合い、高齢者から現役世代、子どもまで幅広い層を対象にしています。毎日の楽しいこと、心と身体の健康と安心を住民の方と一緒に作るのがコミュニティナースです。職業や資格ではなく実践のあり方であって、コミュニティナーシングという看護の実践からヒントを得たコンセプトなんです。その人ならではの専門性を活かしながら、地域の人や異なる専門性を持った人と共に、中長期的な視点で、100人いれば100通りの形で社会に出て活動しています。まだ、知らない人も多いとは思いますが、社会に広がり始めています。
――どうすればコミュニティナースになれるのでしょうか?
看護師であれば、その他に特に資格があるわけではなく、コミュニティナースの概念やあり方に共感した人がそれぞれのやり方で実践していくもので、名乗ることにも制限はありません。今日からまちに出て実践することもできます。何から始めればいいか分からなかったり、すでに実践していて活動のヒントがほしい人のために、現在「コミュニティナースカンパニー」という団体でコミュニティナースプロジェクト講座を開催しています。私は講座の修了生ではありませんが、働き方やコンセプトに共感して活動をスタートしました。
2度の手術がきっかけに…「皆と幸せになりたい」理想の働き方探す
――コミュニティナースになろうと思ったきっかけは何ですか?
私は看護師の国家試験に合格してから、公立の病院で、新生児科病棟の看護師として新生児集中治療に携わっていました。その頃から地域で働きたいと思っていたのですが、結婚を期に病院を辞めた後は、デイサービス、高齢者施設や地域包括支援センターで仕事をしました。
地域包括支援センターとは、主に介護保険法で定められた、地域住民の保健・福祉、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行なう機関です。そこでは、たくさんの経験をしてきましたが、業務をこなす中、痒いところに手が届かない思いもたくさんしてきたんです。ここ1、2年の間、自分が理想とする働き方はないかなと探していたところに、コミュニティナースという言葉を知り、これだと思いました。
また、40歳になってから手術が必要な病気に2度かかり、健康の大切さを改めて実感したこともきっかけです。そのとき、家族を悲しませたり、寂しい思いもさせました。そういう思いをする人を1人でも少なくしたい、地域の人たちが笑顔や健康である姿を見ることが私自身すごくハッピーな気持ちになれるので、地域に出て行くコミュニティナースという大きなチャレンジも、その気持ちがないとできなかったと思います。私が皆さんと幸せになりたいと思う、その気持ちが一番です。(後編につづく)
『 【常盤平団地「はれの日サロン」から】まちに「保健室」を作りたい~まちなか保健室コミュニティナース・国府田正枝さん(前編) へのコメント 1件 』
・少子高齢化だから何をしても上手くはいかない。