【アラカン解剖】キャッシュレス決済・樹木希林・なあなあ援助…シニア女性の話題・トレンド2019

「樹木希林」現象
タピオカ、令和、paypayなど、2019年もたくさんのトレンドワードが登場しました。シニア世代ではどのようなコトやモノが話題となったのでしょうか。50代以上の女性に人気の雑誌「ハルメク」でブレーンとして活躍する、生きかた上手研究所の梅津順江氏に、2019年のシニア女性のトレンドについて尋ねました。

今年、シニア女性の間で話題になったコトやモノを振り返り、考察してみます。


1.増税前の駆け込み消費とキャッシュレス決済


キャッシュレス決済・QRコード決済利用状況の変化

 10月より、消費税率が8%から10%になりました。
 「ハルメク通販」では増税前の駆け込み需要はありましたが、10月以降も好調で、極端な冷え込みはみられません。経済産業省の需要平準化対策「キャッシュレスポイント還元事業」が功を奏したのか、増税後も消費はコントロールされている模様です。
 増税前、あらゆるメディアで「これは増税前に買った方がオトク、これは増税後の方が安く買える」などの特集を取り扱いました。ハルメクでも、キャッシュレス決済をわかりやすく解説する記事や講座は人気でした。
 シニア女性は、この半年(2019年3月と2019年9月の比較)で、スマホ決済が1.5倍、QRコード決済は4倍の利用経験率になりました。情報の多さと複雑さに戸惑いながらも「損したくない」というマインドが、スマホ決済の利用率につながったのでしょう。


2.「樹木希林」現象


「樹木希林」現象

 2018年9月、樹木希林さんが75歳で亡くなりました。2018年末から2019年にかけて、樹木希林さんに関連する本の出版が相次ぎ、生前の言葉を集めたり、インタビューなどを再編成した書籍がヒットしました。
 ハルメクでも2019年新年早々「ためこまない新習慣」という特集の中で、樹木さんの潔い生き方や遺された言葉を記事にしたところ、多くの反響が寄せられました。これまでも樹木希林さんのインタビュー記事は読者に人気でしたが、逝去された今なお、シニア女性の人生観に影響を与え続けています。
 まさに「働きかた改革」ならぬ「生きかた改革」への関心が高まった年だったとも言えます。


3.新元号への関心


新元号発表

写真:首相官邸ホームページ 「新元号の選定について」より

 5月1日、「令和」という新元号が発表され、伊勢神宮参拝者が増え、記念のご朱印帳が売れたというニュースが聞こえてきました。また、日本の古典「万葉集」が出典であることから、関連本に注目が集まりました。感動の即位パレードも話題でした。
 ハルメク読者は、新元号を迎える喜びに加え、皇后交代に対する高い関心があります。4月売り号で「心に残しておきたい美智子さまのお言葉」を特集、5月売り号で「小和田雅子さんの納采の儀」を扱ったところ、大きな反響がありました。


4.子供への「なあなあ援助」


ひきこもり

 今年は、ひきこもる中高年の子供と高齢の親が孤立する「8050(はちまるごーまる)問題」が話題でした。またその「中高年のひきこもりが全国で61万人」という数字も発表されました。
 ハルメク読者は親世代に当てはまります。雑誌「ハルメク」で援助の記事を紹介したところ、関心が高いことがわかりました。特に注目されたのが「なあなあ援助」。「なあなあ援助」とは、子供にとってありがたみを感じにくく、親の支払いが慣例化しがちな「光熱費」「食材費」「外食費」「小遣い」などを指します。
 これからも、親世代の援助に関する悩みは深刻になっていくのではないでしょうか。


5.ガラケー卒業&スマホ塾


4種のデジタルデバイス利用率推移

 55-74歳の女性の77.4%がスマートフォンを保有しています。昨年(67.7%)より10%上昇しました。「ガラケー」保有率21.3%の約3.6倍ということになります(生きかた上手研究所2019年7月調べ)。
 2008年7月、日本にiPhoneが登場してから11年で、この世代にも「スマホ」が普及したということです。しかし、世代ならではのスマホに対するモヤモヤやストレスも露呈しました。それは、「ガラケーを卒業して、スマホにしたのはいいけれど、使いこなせない」という悩みや不満です。これらのモヤモヤ・ストレスに応えるべく、ハルメクでは雑誌の中で「スマホ特集」を組み、丁寧に説明したり、「スマホ講座」を開催しています。雑誌も講座も、大人気で、スマホの活用法に関する記事は、年1、2回特集で扱うだけでなく、「スマホ塾」という連載をスタートさせたほどです。


6.端境期消費を今ゴト化


端境期消費を今ゴト化

 2019年にハルメク通販でヒットした商品は、「世代の変化に対する悩みをおしゃれに再定義した商品」が目立ちます。白髪と黒髪の割合が中途半端になりがちな移行期に使い、白髪を自然に美しく見せるヘアマニュキュア剤「プラチナグレイカラー」。まるで若者がワイヤレスイヤホンで音楽を聴いているかのようなおしゃれな見た目の「耳かけ集音器」。「シルバーカー」には見えないおしゃれなデザインで、さっそうと買い物できそうな雰囲気の「キャリーバッグ」などです。
 「心や気持ちは若いのに、体や感覚はついていかない」という矛盾した悩みを抱えているシニア女性は多いです。これらのヒット商品は、この心とカラダのギャップにうまく応えることができたのでしょう。これまで、“老い”を象徴する商品は端境期にいる女性が「自分にはまだ早い」と抗う心理が働いて、後回しにしがちな消費群は、おしゃれな表現やデザインに置き換えることで、ヒットするのです。

 この他、「終活疲れ」「老後資金2000万円の公表による不安」「免許返納」「防災意識の高まり」などの話題がよく聞かれました。

 
 
【執筆者プロフィール】
梅津順江 (うめづ ゆきえ)
ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所所長
大学を卒業後、7年間ジュジュ化粧品株式会社(現・小林製薬株式会社)で商品開発やマーケティング業務、14年間、株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシーで定性調査のモデレーターやレポーティングを行う。2016年3月から現職。主に年間1000人近くのシニアを対象にインタビューや取材、ワークショップを行い、誌面づくり・商品開発・広告制作に役立てている。
【著作物 他】
「この一冊ですべてわかる 心理マーケティングの基本」(日本実業出版社 2015年)
「市場開拓、開発テーマ発掘のためのマーケティング具体的手法と経験事例集」(技術情報協会 2013年共著)
2017年11月から毎日新聞の経済プレミアにて「シニア市場の正体」、2018年6月からプレジデントオンラインにて「プレジデントリサーチ隊」を連載中。

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