【50歳からの「オトナの放課後」】(第3回)シニア向けビジネスがうまくいかない明確な理由とは?

オトナの放課後
世の中には、シニア世代を対象にしたビジネスが数多くありますが、その多くは失敗に終わると言います。シニアをターゲットにするとなぜ苦戦するのか、シニアマーケティングに詳しい一般社団法人日本元気シニア総研の鈴木準氏は、3つの理由を挙げています。

シニアマーケティングは何故苦戦するのか?


ばつ印を作る女性

「人生100年時代」と言われますが、厚生労働省発表の日本人平均寿命は、昨年で男性81.25年、女性87.32年であり、更に平均値は延びると予測されています。お役所が高齢者という65歳以上人口は今年で3588万人。総人口の28.4%を占めるため、様々な企業は「シニア市場」開拓に注力していますが、いずれも苦戦しています。
私は昨年から本格的にシニアマーケティングに関わり始めましたが、このビジネスが「難しい・お金にならない」理由は、次の3つにあります。


苦戦理由その(1)~これまでのマーケットのポテンシャルが低かった


シニア市場

1つ目は、これまでのシニア市場はニーズが薄かったことです。戦前・戦中生まれの世代は「倹約が美徳」という考えの人が多く、高齢化で「お金・健康・孤独」とシニア3大不安もあり、お金を積極的に使いません。そして若い頃の娯楽が少なく、遊びの経験があまりありません。「遊びは不良!」のように明治生まれの親世代から教えを受けた世代です。つまり余暇を過ごす術を知らない、楽しみを見つけにくい、お金の有効な使い方を知らない人が多いのが特徴です。

続く団塊・ポスト団塊世代(昭和20年代生まれ)は、女性は若い頃ミニスカートブームや昭和45、46年創刊の雑誌「anan・nonno」から流行したアンノン族など、男子学生に先駆けてオシャレをして遊びを覚えました。この女性たちが現在アクティブシニアとして消費行動を起こしています。しかし男性は、学生運動渦中の世代で、当時の娯楽は「デモ行進(流行だった)・マージャン・フォークソング」といった感じ。そしてリタイヤ後の生きがいを見いだせず、消費に大きな影響を与えるに至っていません。


苦戦理由その(2)~事業やマーケティングを考える企業人が若い


上司と部下

2つ目は、売り手側の構造的問題です。日本企業のほとんどは40代から50歳前後くらいが部長やリーダーを務め、20代や30代の部下とチームを作ります。そのチームがシニアビジネスを考えても、シニアの実態は分かりません。雇用延長した60代社員がいる会社でも「組織の壁」は厚く、現場とベテランの情報共有はできていません。
更に言うのであれば、従来のシニア世代のデータベースを活用するならば、必然的にこれまでのシニア情報を元にマーケティングプランを考えることになり、時代は変化しているのに、新たな発想や市場を捉える目を摘んでしまう事にもなりかねません。


苦戦理由その(3)~シニアを十把一絡げ・固定観念で捉える


多様なシニア像

3つ目は、理由(1)と(2)が相まって、シニアを「十把一絡げ」や「固定観念」で捉えることです。実はこれが最大の理由と言っても過言ではありません。シニアといえば、「健康、旅行、孫が可愛い、あとは介護・終活でしょ…」と一括りに考えるので、「これまでにない新たな価値の創出、顧客が支持するモノやサービスが世の中に出てこない」のです。

今年に入り、幾つかのメーカーさんのシニア向け事業開発や、製品開発の相談を受けましたが、皆さん多くがこの考えです。例えて言うのであれば、今より平均寿命が短い、昭和44年に放送開始された漫画「サザエさん」の磯野波平さんが54歳、舟さんが48歳ですが、寿命が延びたアクティブシニアのターゲット像を「いまだに磯野夫婦?」というくらい、お年寄り扱いしている印象です。


今や日本の人口構成比は50歳を境に約半々という時代に突入


65歳以上の人口構成比は約28%ですが、これを50歳に引き下げると「約50%」であり、何と今や日本の市場は、「50歳を境に、上と下で半々の人口を構成している」のです。
それにもかかわらず、若年層は細かく年齢・性別を刻んでビジネスやマーケティングを行うのに、50歳を超えると一括り。これではビジネスチャンスを大きく逃がしてしまいます。
そこで、こうした現状の問題点を解決する私なりの考えを、次回のコラムでお伝えします。

【ABS世代(アクティブ・バブル・シニア)】
1955(昭和30)年から、新卒バブル入社組である1968(昭和43)年生まれで、若者カルチャーが拡がった70年代後半から、80年代バブル期の影響を受けている次世代シニア層。

 
 
【執筆者プロフィール】
鈴木 準(すずきじゅん)
一般社団法人日本元気シニア総研:ABS研究会主任研究員。株式会社ジェイ・ビーム代表。マーケティングコンサルタント、コラムニスト、ジェロントロジスト。
1960年生まれ。岐阜県岐阜市出身。㈱電通ワンダーマン(現:電通ダイレクトマーケティング)を経て、1998年にマーケティングコミュニケーションに関するコンサルティング、及びプランニングを事業領域とし独立開業。「株式会社ジェイ・ビーム」設立。
マーケティングの本質は「人を口説き・好きにさせて、好きになり続けてもらうこと」、そして「顧客をハッピーにする価値を与えること」と解釈している。そのためには、受け手のニーズ(本質的欲求)を捉え、ハートをキャッチするには、どうコミュニケーションを図るか。「人間観察」を通じた顧客視点で考えることを信条としている。
【著作物・その他】
共著書「広告ビジネス戦略(誠文堂新光社)」、その他一般紙・業界紙誌や、講演・セミナー・企業研修多数。
一般財団法人グローバルジェロントロジーセンター:美齢学指導員
一般社団法人日本元気シニア総研執行役:シニアビジネスアドバイザー
一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会:客員講師
インスタグラムアカウント(funkyjun_)
https://genkisenior.com/


externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)