【チャコちゃん先生の課外授業】日本をもっと深く識る

笑顔の男女
つい最近、インターネット上で「負の性欲」という言葉が物議を醸しました。男女平等、女性差別、男性差別など、現在は性をめぐる様々な議論が活発に行われています。一方で、男女の「役割」には違いはあるでしょうか?役割の違いについて考えることは、双方の理解を助けることにもつながります。着物文化研究家の中谷比佐子さん、通称チャコちゃん先生による本コラムでは、日本古来の男とは?女とは?について、古事記を紐解きながらお伝えします。そこには、男女の役割を通じた「日本」という国を深く識(し)るためのヒントも隠されているようです。

(第1回)日本を深く識る


「男の役割」「女の役割」が決まっていた縄文時代


縄文土器

写真:縄文土器

日本の縄文時代は1万5千年とも3万年続いたとも言われています。その間全く争いの形跡がなく、男女の役割がきちんと決まっていて、みんなが平和に楽しく暮らしていたようです。どうしてそのような穏やかな暮らしが何万年も続いたのでしょう?

それは「男の役割」「女の役割」がしっかりと認識されていたからです。男と女の役割をはっきりと決めたことが古事記に書かれています。あなたもよくご存知の「イザナギノミコト」と「イザナミノミコト」の国作りの話の中に統(おさ)められています。

高天原に住む天之御中主(あめのみなかぬしのかみ)の大神様たちの命を受け、お二人が天の柱を伝わって下りて来ます。そこで「まぐあい」(性行為)をして子供を産もうという儀式を始めるのですね。柱を回って二人が出会います。女の神様「イザナミノミコト」が男の神様「イザナギノミコト」に声をかけます。

「あらいい男ねえ、私の体は足りないところが一つあるの」それを受けて「美しい女だ、自分の体は一つ余っているところがある」。ではそれを塞いで一体になり、子供を生みましょう、とまぐわったところ、なんと形のないヒルコが生まれました。

「これはいけない。何か間違っているのだろう。大神様たちの判断を仰ぎましょう」と二人の神様は高天原に柱を伝わって行きます。

大神様たちは大会議を開き最終判断を霊威に任せます。その結果「女が先に声をかけたのが間違い、ことが成り立たない」という卦(け)が出ます。早速二人は天柱を伝わって元の場所に降り立ち、男神「イザナギノミコト」が先に「麗しい乙女だこと」と女神「イザナミノミコト」に声をかけ、前と同じようにまぐわうと、次ぎつぎと麗しい島が誕生しました。日本の島ではなく世界の島であると今では解釈されていますね。日本列島は五大陸の形が全て入っています、また世界中の樹木が生い茂り、世界中の食べ物、魚介類があります(この話はまたいずれ詳しく)。


古事記は「男尊女卑」か?


大嘗宮

写真:大嘗宮(だいしょうぐう)

このまぐわいのところを「男尊女卑」という言い方をする方も多いのですが、実はもっと深い宇宙法則が含まれています。つまり、この世は「陰」と「陽」、つまり、マイナスエネルギーとプラスエネルギーの調和の中で成り立っているわけです。

「陽」は放出のエネルギー、「陰」は受容のエネルギーです。放出と受容は常に一対で調和します。しかも放出があって受容が存在し物事が成り立つというのが宇宙の法則です。何事も「出る」が先でその後「入る」という形式です。入るばかりだと出ることができなくて破裂するか崩れます。「陽は男」、「陰は女」です。そうすると男は先に動き、女は受容するという法則が一番平和で自然でスムーズに行きます。


何万年も争いが起きなかった理由


蚕の繭

写真:蚕の繭(まゆ)

縄文時代の遺跡からその時代の生活を想像すると、男は猟に出て、女は家事全般、そして周囲との和を尊ぶ日常で、生活の運営を任されていたようです。今では土器も女達が作ったのではないかという説もあるくらいです。私達が考えている以上に縄文時代は文化は発達していて、衣服を織ったり土器を使う大皿料理などの名残を遺跡から見ることができます。

そういう中で争いが起きないというのは、すべてを把握できている「長」の存在が伺えます。その長は勿論長老の男で、なお脇には自我のまったくない「霊威」を持った女性たちがいました。男の行動力と知識の積み重ねが常に新しいものを生み出し、女の直感と知恵の働きがそれをどう生かして、自然の理に逆らわずに暮らしを立てていくか、まさしくこの「陽」と「陰」のエネルギーの調和の上で平和が何万年も続いたのだと考えられます。

今、私達はこの「陽」と「陰」のエネルギーの使い方をどこかに忘れているのかもしれません。大転換期が始まっている今こそ、もう一度原点に立って自分自身の生きる道に自信を取り戻したいと思うのです。

 
 
【執筆者プロフィール】
中谷比佐子(なかたにひさこ)
株式会社秋櫻舎代表取締役。一般社団法人日本元気シニア総研顧問。着物文化研究家。きものエッセイスト。
「着物が私をどう変えるか?」をきっかけに、着物を切り口に日本の文化を学び伝えている。『きものサロン』はじめ、着物雑誌の企画監修、執筆。風水、Aura-Somaティーチャーの顔も。
ブログ:チャコちゃん先生のつれづれ日記

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【チャコちゃん先生の課外授業】日本をもっと深く識る へのコメント 1件 』

  • 投稿者:匿名

    女性のそうした受容性に甘えてサラリーマン生活をおくったせいで、熟年離婚してしまうような気がする。
    これからは男も女性の培った受容を学ぶべきだ

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