70歳定年は「単なる現状維持の延長線」か 体力、能力、意欲に不安も -「70歳定年」に関する調査(下)-

未来投資会議

写真:首相官邸ホームページ 2019年5月15日「未来投資会議」より
 

現在、企業の役職定年の平均は55歳と言われています。役職定年後は年収が下がり、仕事の内容も変わります。そんな現実が見えてくるのが、まだまだ働き盛りの50歳の頃。その頃から、定年後への準備が始まります。政府では「70歳定年」が議論され、生涯で働く年数が今後さらに増加することに対し、働く現場からは戸惑いの声も聞こえてきます。定年後研究所所長の得丸英司氏による、現役会社員へのアンケート調査をもとにした本コラムからは、今後の働き方のヒントが見えてきます。

70歳定年は「単なる現状維持の延長線」か 体力、能力、意欲に不安も(上)-


70歳定年「体力、能力、意欲」に自信なし


定年後研究所が行った「『70歳定年』に関する調査」で、70歳定年・雇用延長を「歓迎する」と回答した割合が約4割(42.9%)にとどまるという意外な結果が出たことを、前回お伝えした。

「70歳定年」が実現した場合の65歳以降の働き方について聞いたところ、約半数の45.7%が「結局は70歳まで今の会社で働き続ける」と回答した。70歳定年・雇用延長“歓迎派”では、なんと69.5%が「今の会社で働き続ける」と考えており、「違う会社で働く」(18.6%)や「起業など組織に頼らず働く」(4.5%)を大きく上回っている。70歳定年は、会社員にとって「単なる現状維持の延長線」に過ぎないのだろうか。

また、70歳まで今の会社で働くことに対する不安について聞いたところ、「不安を感じることはない」という回答はわずか3.9%で、残りの96.1%は何らかの不安を持っていることが明らかになった。その不安要因は、「体力が続かないこと」(63.0%)、「50代のときと同じようなパフォーマンスが発揮できるかわからないこと」(46.9%)、「働く意欲が持てるかどうかわからないこと」(44.2%)などである。『体力、能力、意欲』のいずれをとっても“自信がない”ということになるのだが、「これで“シニア活躍”は大丈夫だろうか」と考えたくなる。


「自社で抱え続け、最後まで」解釈の誤り


高年齢者雇用安定法の改正案骨子

5月に行われた「未来投資会議」では、「70歳までの就労機会の確保に向けた法改正を目指す」ということで、「高年齢者雇用安定法」の改正案の骨子が発表された。「65歳までと異なり、それぞれの高齢者の特性に応じて、多様な選択肢を準備する必要がある」(首相官邸HPより)というのが論点のポイントのようだ。

具体的には、「従来の定年延長(あるいは廃止)や継続雇用制度の導入に加えて、他の企業への再就職や自営、起業、社会貢献活動への支援など幅広い選択肢を用意する」(首相官邸HP)ことが、今後企業に求められるという。

「自社で抱え続け、最後まで働いてもらう」という従来型の定年・雇用延長とは異なり、「人生100年時代を迎えて、元気で意欲ある高齢者の方々にその経験や知恵を社会で発揮していただく」(首相官邸HP)という意図で策定された改正案の「支援策」である。この解釈を誤ってしまうと「単なる現状維持の延長線」になりかねない。


「50代からの準備」に鍵がある


50代男性

企業としてどのように対峙するのか、シニア従業員はこの支援策の土俵にいかに乗っかっていくのか、労使で取り組む「令和時代の人事政策」の腕の見せ所である。

定年後研究所では、この「多様な選択肢」を実効性のあるものにする鍵は、50代からの準備をいかに促し支援するか、だと考えている。そのための具体策を企業とシニア従業員に提供していく準備を進めているところだ。

執筆者:定年後研究所所長 得丸英司


externallinkコメント一覧

70歳定年は「単なる現状維持の延長線」か 体力、能力、意欲に不安も -「70歳定年」に関する調査(下)- へのコメント 1件 』

  • 投稿者:匿名

    意欲というところは結局体力をベースにしたものが前提で、まずは健康維持などの政策を自治体レベルからもっと強く推し進めるべきではないか。法的強制力を行使することを含め視野にいれてほしい。
    若い方々も給与が減って苦しいということだが、その割には心身の節制ができているか大いに疑問だ。
    若者から食生活、日常生活のふるまいふくめ、健康強制施策がひつようなのではないか。
    そう思います。

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