シベリア抑留、風化防げ=紙芝居やラジオで語り継ぎ-経験者高齢化で・札幌

 戦後74年を迎え、旧ソ連によるシベリア抑留経験者の講演会などを開いてきた札幌市の団体「シベリア抑留体験を語る会札幌」では、語り部の高齢化に伴い、経験者のいない時代に備えた活動を始めている。代表を務める建部奈津子さん(45)は「戦後80年になる頃には、もう経験者はいないかもしれない。連行され亡くなった人のためにも、理不尽な事実を風化させてはいけない」と活動を続ける覚悟だ。
 同会の語り部10人は北海道内在住の90~96歳。会は2015年以降、講演会を計52回行い、来場者は延べ1800人を超えた。経験者による講演にこだわってきたが、この数年で記憶が曖昧になったり、体が不自由になったりして難しくなってきた人もいるという。
 建部さんは昨年6月から語り部の経験を描いた紙芝居やパワーポイントを使った出前講座も始めた。今年2月からはパーソナリティーを務めるラジオ番組「シベリア物語」にも挑戦し、地元FM局で毎月2回放送している。
 今月18日には初めて同会が同市内の慰霊碑で追悼の集いを開く。16年まで別団体による同様の催しがあったが、高齢を理由に終えており、建部さんは「1年に1回、きちんと行事として集まる場がないと、意識が薄れる気がする」と再開させた。
 会はまた、経験者の講演などをDVDやCDに残している。「経験者の声に勝るものはない」として、経験者亡き後も上映会などで声を届け続けるという。
 建部さんが活動を始めたのは、10年に札幌市の抑留経験者、神馬文男さん(93)の話を聞いたのがきっかけ。神馬さんは「遺骨の問題も残っており、若い人にはおとぎ話のようかもしれないが、戦争は続いている」と力強く訴える。一方、「ずっと伝え続けられないことが残念。自分の後を受け継いでくれる人が増えれば」と願っている。 
〔写真説明〕シベリア抑留経験者の高齢化を受け、活動を多様化させる建部奈津子さん(右)と語り部の神馬文男さん=6日午後、札幌市中央区


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