先発投手負傷に手薄な投手陣… ロッテ吉井コーチが立てた「最高」の継投プラン

■ブルペンデーで完封勝ち 6人の投手継投の裏に明確なビジョン「事前に色々と考えて…」

■ロッテ 5-0 日本ハム(10日・ZOZOマリン)

 ロッテは10日、「ブルペンデー」として挑んだ日本ハム戦を6人の投手継投で5-0と完封勝利。その陰には吉井理人投手コーチの、投手運用に対する明確なビジョンがあった。

 先発を予定していたボルシンガーが右足を捻挫したことを受け、10日の試合を「ブルペンデー」として臨むことになったロッテ。吉井コーチは試合後に「今回は選択肢がそれしかなかった。2軍にも先発できる投手がいなかった」と、苦肉の策であったと明かした。その中で「事前に色々と考えて、うまくいった時にはこれだろうと、選手たちに『最高の順番』と発表した」というのが唐川からスタートした6人の継投だった。

 唐川を先発にした理由は「いくつかあって、先発させても普段通り投げてくれる。いつも試合を見ていて、どんな状況でも普段通りに投げてくれるし、タイプ的にもパンパンパーンとゴロアウト3つで試合に勢いがつくかな」。先発経験を重視したのではなく、あくまで普段の投球スタイルからの選択だった。「田中も考えていたんですが、前日(9日)に投げると3連投になってしまう。予告先発で9日に先発を発表しないといけなかったので、唐川なら8日に登板していないので、9日に投げたとしても連投で済む」と、予告先発の発表時には始まっていなかった9日の試合を含めて田中の3連投を避ける意味合いもあったという。

 その唐川は、ゴロで3者凡退とはいかなかったが、予定の1イニングを無失点に抑えて降板。2番手にはロングリリーフを任されることも多いチェンがマウンドへ。吉井コーチはこの2番手をこの試合の「肝」だと位置付けていた。

■難しい起用となった3番手の石川「ある意味勝負でした」

「2番手が失敗しちゃうと(試合が)終わっちゃうんですよ。で、チェンか石川か迷ったんですが、石川は故障明け(腰痛)だったのでチェンに託しました。チェンにはこういう登板機会で何回か投げさせていたので、今回もすんなりやってくれるだろうと思っていましたし、しっかり投げてくれました」

 そのチェンはピンチを招きながらも、粘りの投球で3回を無失点。「2回か3回、行ってくれればと思っていたので3回投げてくれて、本当に『最高の最高の結果』です」。今季この試合までに意図的に試してきた経験をしっかり結果につなげた左腕を独特の表現で称賛した。

 難しい起用となったのは3番手の石川だ。腰痛で登録抹消されての復帰登板。しかも2軍での実戦登板なくぶっつけ本番となった。

「もともとは9日の2軍戦で、3回のリハビリ登板を予定していたんですが、ボルシンガーの故障というのっぴきならない状況になったので『だったら1、2点の失点覚悟で、2回くらい投げられたら』と登録しました。トレーナーとも相談しましたが『パフォーマンスと気持ちの入った時の出力は未知なので、なんとも言えないですが、体の状態はいつでも試合で投げられる状態』ということだったので、本人とも話して行ってもらおうと。ある意味勝負でした」

 その勝負にピンチを招きながらも応えた石川。プロ入り123試合目で初となるリリーフ登板を2回無失点で凌いた。「パフォーマンスは本人も納得していないと思いますが、結果がゼロだったのでそこはよかったと思います。ホールドがつくんですよね? そこも良かったと思います」。石川のプロ初ホールドを気にかけていた。

 その後は、松永、田中、益田とベテランリリーフ陣がしっかり1回ずつを締め、日本ハムを完封。『最高の順番』と語っていたプランから「松永と田中が入れ替わったけど」と笑いを誘った吉井コーチは、「最後は西野一人を置いておこうと思っていました。延長になったら西野に最後まで行ってもらおうと。今のメンバーでチェン以外でロングができるのは西野しかいないと思ったので」と説明。延長を想定し、この「ブルペンデー」のプランを立てていた。

■「ブルペンデー」は成功も… 後半戦で浮上を目指すためには「先発ピッチャーが必要」

 その「ブルペンデー」について吉井コーチは「やってみて思いましたが、ブルペンの準備も大変ですし、人数や投げるイニングが限られているので、やっぱり『打たれたらダメ』っていうプレッシャーが選手たちも感じていると思う。体の疲れもですが、心の疲れもあると思うし、見ている方もしんどかったので、本当、1か月に1回でもしんどいです」と振り返る。難しさを実感した様子だった。

「はっきり言って手薄なメンバー」と表現するロッテ投手陣。しかし、シーズンの中で積んできた様々な経験が糧となり、この日のチェンを始め、多くの結果をもたらしており「若い子はいい感じで成長してきている」と、吉井コーチ自身も成長を実感している。しかし、後半戦で浮上を目指すためには「先発ピッチャーが必要」だと訴える。

 オールスター明け、スタミナ勝負の夏場に続く6連戦と、その先にある過酷な10連戦&9連戦を見据え、まずは西野に2軍で先発調整を課した。さらに、9日に復活登板を果たした佐々木、「1軍で通用するボールを持っている」という土肥、小島、中村ら若手左腕トリオの1軍再昇格など、多くの選択肢を視野に入れながら先発投手陣の層を厚くしていく考えだ。

 また、リリーフ陣はワンポイントではなく「実力が発揮しやすい」とイニング頭から登板するケースが多かったが、「後半の追い込みどころ、勝負がかかってきたら違うやり方になるかもしれない」と今後は違った継投になっていく可能性も示唆する。

「本当にムチを入れた時にガンっと行けるように、今はぐっと抑えている状態、我慢している状態です」

 自身も競走馬を持つ吉井コーチらしく、競馬で言うならば勝負どころまで今は足をためている状態のロッテ投手陣。日本ハム、ソフトバンクと各チームで手腕を発揮した名伯楽が、今後若い投手陣をどのように運用し、勝負どころでムチを入れるのか。後半戦、ロッテ投手陣から目が離せない。(岩国誠 / Makoto Iwakuni)


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