「小樽雪あかりの路」で見つけた幻想空間「@Marche(あったマルシェ)旧三井銀行小樽支店」 生活に寄り添う珠玉の商品が心に灯をともす

今年で21回目ボランティアスタッフの目には見えない努力に支えられる「小樽雪あかりの路」

太陽が山の端に翳る頃には、辺りはさらに静けさに包まれ、雪に埋もれた古い街並みは温度が下がるごとにさらに神秘性を増します。年季の入った倉庫から垂れるつららの長さが、今年の冬の厳しさを物語ります。

小樽運河を照らすガス灯がともり、雪の色を映すようにぼんやりした白色の空に朱(しゅ)が混じります。運河の水面で揺らぐ浮き玉のキャンドルの灯りが、ノスタルジックな雰囲気を演出し、降り積もった雪の中に無数のろうそくの灯りが揺らめきます。

「小樽雪あかりの路」

今や冬の北海道を代表する風物詩に成長し、今年で21回目を迎える「小樽雪あかりの路」が、2019年2月8日(金)~17日(日)に開催されました。開催当初から、運営には小樽市民を中心とした、ボランティアスタッフの目には見えない努力がイベントの原動力となっています。

イベント期間中は毎日、キャンドルを設置し、火を灯し、消えるたびにまたひとつひとつ手で灯してゆくのです。

雪夜

北海道に在住していた幼年~青年時には主に詩作をしており、小樽を代表する文学者でもある伊藤整氏の「雪夜」という詩の一節から、「小樽雪あかりの路」と命名されました。

「@Marche(あったマルシェ)旧三井銀行小樽支店」で出会う個性豊かな店の数々

「@Marche(あったマルシェ)旧三井銀行小樽支店」

「小樽雪あかりの路」の期間中、様々なイベントが催されていますが、極寒の中でオアシスのように人々に安らぎを与える空間があります。凍てついた空気の中、街歩きをする人々のかじかんだ手や身体、そして心をあたためるのが「@Marche(あったマルシェ)旧三井銀行小樽支店」です。

「@Marche(あったマルシェ)旧三井銀行小樽支店」の内観

今年の『@Marche(あったマルシェ)』は、日程は5日間(2/8(金)~12(火))に増え、出店も34店となりました。旧三井銀行小樽支店は、昭和2年(1927)に竣工し移りゆく小樽の歴史を眺め続け、日本の近代建築史に大きな足跡を残した重厚感あふれる建造物です。石積みのルネサンス様式の外観、吹き抜けには回廊がめぐり、天井の石膏飾りが美しく、大理石のカウンターが印象的です。

「@Marche(あったマルシェ)旧三井銀行小樽支店」の内観のプロジェクションマッピング

その歴史的建造物が、「@Marche(あったマルシェ)」の期間に、ファッション、インテリア、アクセサリー、テキスタイル、フード、カフェ……とヨーロッパの老舗デパートのように蘇ります。

「@Marche(あったマルシェ)旧三井銀行小樽支店」の内観のプロジェクションマッピング

天井全面には、日本の四季を表現したプロジェクションマッピングが上映されます。変わりゆく四季の表情が、まるで万華鏡のように展開されました。

「@Marche(あったマルシェ)」の最大の魅力は、”only one”の存在感を示す、個性にあふれた出店者にあるでしょう。

Zenibako style shop & gallery

「@Marche(あったマルシェ)」のコーディネーターでもあり、小樽観光協会の理事でもある白鳥陽子さんが店主を務める「Zenibako style shop & gallery」のブースでは、石川県で九谷焼を学び、現在朝里で工房を構えている三津和広さんのポップなモノトーンの水玉模様とマットな質感の印象的な作品が目を引きます。対照的に渋く落ち着いた色調で、土そのものを感じる器は、小樽銭函の作陶家・中島知之さんの作品です。その他、日本最古の御香調進所である京都の「薫玉堂」の線香や、1888年創業の静岡県牧之原市にある「カネ十農園」のお茶など、伝統を大事にしながらも現代に対応し、革新的で、進化し続けるモダンな商品が販売されていました。銭函駅すぐそばにある店舗に伺った際にも、白鳥さんがセレクトしたアクセサリーや服飾雑貨、器、食品の数々に驚いたこと、今回のマルシェでも出店されているカフェ「SNOW DROPS COFFEE(スノー ドロップス コーヒー)」のスコーンの美味しさを思い出しました。

yukimichi

幕別町札内から、海と山に囲まれた小樽市張碓町に、2016年11月移転オープンされた「yukimichi」も出店されていました。 岐阜の暮らしと道具「ユーカリ」さんの“ちょこっとライト”がさりげなく商品を照らし、美幌の「喫茶室 豆灯」のキャンドルや道内外の作家さんの器はやはり素敵で、生活を楽しくしてくれそうです。手仕事の器、暮らしの道具、美味しいものなどいつもそばに置いて使いたい、誰かに贈りたいというものを提供したいという想いが伝わります。

SUU

北欧をはじめ海外そして道内外からセレクトされたキッチン用品から雑貨、ファブリック、服飾雑貨、バス用品・洗剤と多岐に渡り、地元客や観光客を惹きつけてやまない、札幌の人気セレクトショップ「SUU」も出店されていました。神戸元町の「一粒万倍」のグラノーラ、フードデザイナーのたかはしよしこさんの食品調味料シリーズなども紹介されていました。エジプト塩は、今や我が家でも欠かせないアイテムとなっています。

「ほたるdesホタル」

アンティーク好きの方のファンが多い札幌の「ほたるdesホタル」の、海外のバイヤーから購入した商品や和骨董などのロマンを感じる商品群は、歴史的建造物に良く似合います。アンティークの額縁からマルシェをのぞくと、まるで時代が遡る感覚に陥ります。

「vue./sinsin」

北海道の深々と降り積もる雪と、デザイナーの名前の一文字から名付けられた「vue./sinsin」では、北海道の冬にあたたかく寄り添うようなアクセサリーや帽子が陳列され、多くの人々が歩みを止めていました。お気に入りの品を見つけては、鏡の前で身に着け微笑んでいました。

「COQ」

北海道出身のテキスタイルデザイナー、梶原加奈子さんが立ち上げた「COQ」では、鮮やかな彩りのソックスやお財布などが販売されていました。札幌の芸術の森近くにある「COQ」のショップ、レストラン、ゲストハウスの四季を映す川沿いのロケーションは圧巻です。札幌のミシュラン一つ星レストラン、アキナガオとCOQのコラボレーションで生まれたダイニングでのランチは、いつも最高の一時を約束してくれます。

UNGA↑(うんがぷらす)

小樽のお菓子と雑貨の地域ブランド「UNGA↑(うんがぷらす)」では、北前船に七福神を乗せたロゴマークをデザインモチーフに、和三盆の菓子など小樽の素敵なオリジナル商品が揃っていました。

「FAbULOUS。」

2階では、衣食住とアートが融合した唯一無二の空間を札幌で生み出している「FAbULOUS。」の商品の数々に、時間を忘れて見入ります。

「中津箒」

現代のくらしにあった形で再興された、神奈川愛川町の「中津箒」や、札幌では珍しい竹細工職人である山根広充氏の竹細工は、日常の中の美しさがあり、改めて日本の伝統工芸の素晴らしさを実感しました。

どのブースも人々の関心を惹きつける商品ばかりで、北海道全体に大寒波がきている真っただ中にもかかわらず、笑顔であふれる賑わいを見せていました。期間中は、ワークショップやジャズライブも行われていました。海外の観光客も熱心に商品を見ており、ボーダレスでエイジレスな自由で活気のある雰囲気に満ちていました。出店者の方々も様々な出会いやコミュニケーションを心から楽しんでいるようであり、会場が一つの輪になっているようです。外は寒くても、中は温かい。

小樽運河

すっかり暗くなった運河を歩き、あたたかさは人の手が創るものなのだと呟く自分がいました。雪あかりの光は、心の灯になり持ち帰られ、様々な場所を照らすことになるでしょう。

N.Shimazaki
Webメディアのプランナー・ライター・フォトグラファー。国際ビジネスコンサルタント。北海道大学卒業後、ワールドネットワークを持ったドイツ系企業に所属し、システム、マーケティング、サプライチェーン、イベント等のアジアのリージョナルヘッドとして、多国籍のメンバーとともに世界各地で数多くのプロジェクトを遂行。世界の文化に数多く触れているうちに、改めて「外からみた日本」の魅力を再認識。現在、日本の手仕事、芸能等の文化、自然、地方の独創的な活動を直

接取材し、全国、世界へと発信している。

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小樽雪あかりの路 http://otaru.yukiakarinomichi.org/ @Marche(あったマルシェ) 旧三井銀行小樽支店 https://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/information/出店者も、日程もスケールアップ%EF%BC%81『%EF%BC%A0marche%EF%BC%88あっ/
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