
1300年の歴史を持つ節分行事。昔から季節の変わり目には陰と陽が対立し邪気(鬼)が生じ災いが起きると言い伝えがあり、京都市内の寺社仏閣では節分祭として鬼を追い払う儀式が執り行われてきました。京都市内で一番華やかと言われているのが祇園にある八坂神社の節分です。京都市内の4つの花街の芸妓さん・舞妓さんが奉納舞を披露します。豆撒きや空くじなしの福引、そして厄除けぜんざいなど、厄除けや1年間の無病息災を祈願する行事が執り行われ、毎年約8万人もの人が訪れます。
舞妓さんや芸妓さんらが華やかに舞う「祇園さんの節分」
今年は、空の色や日差しが春を先取りしているような節分前日(2月2日)と、少し雨模様の古刹情緒あふれる節分当日(2月3日)に節分祭が行われました。
社務所の控室から舞妓さん、芸妓さんが、しなやかに登場です。境内にある舞台に勢ぞろいしたその後ろ姿は凛としており、会場は貴重な機会を一目見ようと多数の観光客が訪れていました。
舞妓さんや芸妓さんによる奉納舞が始まると、艶やかな舞いに魅了され、会場が静まり返ります。
奉納舞の後、芸妓さんが、氏子の中から選ばれた年男や年女の人たちと一緒に、着物姿で「福は内」と豆をまき、1年の幸せと無病息災を願いました。八坂神社に鬼はいないので、豆まきの掛け声は「鬼は外、福は内」ではなく「福は内」だけなのです。太鼓の拍子に合わせて舞台の上からまかれる袋に入った豆を受けとろうと、訪れた大勢の人たちが手を伸ばし、会場は活気に溢れていました。
その他にも、
鬼の仮面を被った勇壮な祇園太鼓の披露や、
祇園獅子舞の奉納などがあり、賑やかな「祇園さんの節分祭」を満喫しました。
「京都府文化財環境保全地区」に指定され、神社で優雅な舞の奉納
京都の街の賑わいを離れて、美山に向かいました。山道を進むと気温が徐々に下がり、静寂が支配する日本の原風景に変わります。到着した美山かやぶきの里では、「雪灯廊」が開催されていましたが、今年は雪の量が少なく、かやぶきの屋根の雪に、山里の冬の風景を見ることができました。
集落内にある知井八幡神社の拝殿では、春乃流による舞の奉納が行われました。知井八幡宮は知井九ヶ村の総社として祀られています。境内は昭和59年4月に「京都府文化財環境保全地区」に指定され、神社の環境が保全されています。
また、本殿も同時に「京都府指定登録文化財」の指定を受けています。灯籠による優しい光がはんなりとした舞を照らし、幽玄の世界に誘います。吐く息も白くなる寒さの中で、流れるように優雅に舞う姿は神々しく、心に残る情景でした。
豆まきが開始される頃には、かやぶきの里がライトアップされ、なんともほっこりとした山里の風景に、心から癒されました。
M.Sawaguchi
ライター、輸出ビジネスアドバイザーとして活動中。
早稲田大学文学部にて演劇を専攻し、能、狂言、歌舞伎、浄瑠璃といった日本演劇、西洋演劇、映画について学ぶ。一方で、海外への興味も深く、渡航歴は30か国以上。様々な価値観に触れるうち、逆に興味の対象が日本へと広がる。現在は、外資系企業での国際ビジネス経験を元に、実際に各地に足を運び、日本各地発の魅力ある人、活動、ものについて、その魅力を伝えることで世界が結ばれていくことを願い、心を込めて発信中。