CMで有名な木も…美しい銀世界の風景の数々「丘のまち美瑛」

パッチワークの丘を眺めて最も北海道を感じる空港へ着陸

飛行機が旭川空港への最終着陸態勢に入ると、十勝岳連峰をすぐ右手真横に見ながら、眼下に上富良野から美瑛にかけての美しい丘陵地帯が広がります。

滑走路に平行に向きを変えると、徐々にパッチワークの丘が近づきます。最も北海道を感じる空港といわれる、旭川空港へのファイナルアプローチの眺めです。

空港の目の前には牧場の雪景色

ターミナルビルを出て正面に見える優雅な大雪山連峰と右手に見える十勝岳連峰の荒々しい峰々、さらに空港の目の前には牧場が広がります。北海道のイメージを絵に描いたような光景に出会い、そこから車で20分程走ると、「日本で最も美しい村」連合にも加盟している美瑛があります。

美しい美瑛の冬-CMなどで人気なった風景の数々を巡る

北海道のほぼ中央に位置し、なだらかな丘が続く光景が魅力的な美瑛。北海道の中でも美瑛エリアは、人の営みと自然が作り出す、他にはない景色が見られる場所として人気です。ほとんどの観光客が訪れるのは、夏のラベンダーに代表されるカラフルな花が咲き、起伏に富んだ丘が緑であふれ、アスパラやジャガイモなどの農産物が育つ春から秋の暖かな季節です。サイクリングやドライブ、または観光バスを利用して丘巡りを楽しむ人々で賑わう季節を過ぎると、美瑛の地は厳しい寒さと共に雪と氷が覆い、静けさを取り戻します。そして、観光客が少ない冬の季節に、その時期にしか見ることのできない、美しい美瑛の風景があります。

美瑛ならではの冬の印象的な風景

雪に包まれた丘がどこまでも続いていく、美瑛ならではの冬の印象的な風景です。美瑛の東側には十勝岳を筆頭として標高2000メートル級の山々が連なる十勝岳連峰があり、銀世界の丘の向こうに美しい山並みが広がります。

美瑛の親子の木

真っ白な丘の上に仲良く並んで立つ3本のカシワの木。2本の大きなカシワの間にまるで守られているかのように小さな1本が立っていることから、いつしか「親子の木」と呼ばれるようになったそうです。冬の寒さに耐えながら3本の木が立っている風景は、まるで厳しい自然に立ち向かう北国の家族のようです。寒い雪景色の中にあっても、その名前からどこか心あたたまる風景を感じることができる癒しのスポットです。

美瑛の「セブンスターの木」

親子の木から「マイルドセブンの丘」に向かう途中、葉を落とし、雪景色の中に佇む迫力あるカシワの木があります。1976年にタバコのセブンスターのパッケージに使用され、一躍観光スポットとなったことから「セブンスターの木」と呼ばれるようになりました。

美瑛のセブンスターの木近くの白樺林

周囲には、丘の上に白樺林が連なり、憂いのある表情を見せます。

美瑛のもうひとつのマイルドセブンの丘

カラマツが横一列に並ぶのが「マイルドセブンの丘」ですが、このCM撮影地ではない、「もうひとつのマイルドセブンの丘」があるのはご存知でしょうか。実は、マイルドセブンの丘は2つあるのです。ここでご紹介する「もう一つのマイルドセブンの丘」は、マイルドセブンの丘の少し北方向にあり、パッケージに使われました。丘の上のカラマツ林が密集しており、その真上に輝く太陽が樹々を照らし、真っ白なスクリーンに影が広がります。

美瑛のケンとメリーの木

雪原を巡っていると、1972年に放送されたコマーシャルで有名になったケンとメリーの木が見えました。当時高い人気を誇っていた日産スカイラインのもので、コマーシャルに登場したスカイラインの車体は、コマーシャルソングの「ケンとメリー~愛と風のように~」にちなんで「ケンメリ」の相性で知られています。ケンとメリーの木は大きなポプラの木で、それだけでも北海道らしい景色を感じることができますが、視点を少しずらすと雄大な大雪山連峰をバックにケンとメリーの木を見ることができます。

美瑛町内には畑の中に立つ1本の木がよく見られます。これは農業に馬の力を利用していた時代に、馬をつないだり、日陰で涼しく休んだりするようにと植えられたものだそうです。

美瑛の「夕日の木」

パッチワークの丘にひっそりと1本だけ立っている「夕日の木」の他に、最近訪れる人を惹きつけている一本のトウヒの木があります。

美瑛の「クリスマスツリーの木」

特に冬に絵になるこちらの木は、上部の枝振りがまるで星の形に見え、クリスマスツリーのように左右対称なことから、いつしか「クリスマスツリーの木」と呼ばれるようになったそうです。

ピンク色から満点の星空へ…北国の長い冬の夜は闇夜が包まれて

美瑛の「クリスマスツリーの木」の影が長くなる

日が傾き、「クリスマスツリーの木」の影が長くなり、夕暮れが近いことを教えてくれます。

美瑛の夕暮れ

美瑛の夕暮れ

まっすぐに続く線路は、太陽が沈んだ空に登るようにつながっていきます。

ピンク色に染まる丘の展望台「北西の丘」から見える、真っ白な十勝岳連峰

丘の展望台「北西の丘」から見える、真っ白な十勝岳連峰も、夕陽を受け徐々にピンク色に染まってきました。

「クリスマスツリーの木」の夜景

青空に佇んでいた「クリスマスツリーの木」を闇夜が包みはじめます。

感動的なまでに広大無辺な真白き世界が幕を閉じ、太陽の助けを失った身体は凍てつきます。空気が冴え、少しずつ丘のまち「美瑛」に星がふりそそぎ、北国の長い冬の夜がはじまるのです。

N.Shimazaki
Webメディアのプランナー・ライター・カメラマン。国際ビジネスコンサルタント。
北海道大学卒業後、ワールドネットワークを持ったドイツ系企業に所属し、システム、マーケティング、サプライチェーン、イベント等のアジアのリージョナルヘッドとして、多国籍のメンバーとともに世界各地で数多くのプロジェクトを遂行。世界の文化に数多く触れているうちに、改めて「外からみた日本」の魅力を再認識。現在、日本の手仕事、芸能等の文化、自然、地方の独創的な活動を直接取材し、全国、世界へと発信している。

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